3.乙女ゲー世界に転生したようです。
本日4本目!
(いや、まさかな…。)
俺はこの世界が前世の乙女ゲームの世界だと思ったが、そんなのは空想上の話だと、考えを改める。
「?どうしたの?みなとくん?」
俺が、一言も話さなかったのが不思議に思ったのか、かんなちゃんが声をかけて来る。
「ん?あぁ、いやちょっと考え事してた。」
「ふーん?」
少し不思議に思いながらも、春樹くんの方が気になるようで、すぐに前を向いた。
(…だが、あの髪飾りはどう説明するんだ?)
桜の髪飾りなどありふれているが、あの乙女ゲームのグッズには特徴があり、普通は桜の花弁の枚数は五枚だが、あのグッズには桜の花弁の枚数が四枚しかないという特徴がある。
(そして、あの桜の髪飾りは四枚……。)
名前のことといい、髪飾りといい、偶然では済まされない事が、立て続けに起こった。
(確かめるしかないか。)
俺は、彼に話かけることにした。だが、今は他の子達が彼を囲ってしまっている。
「………もうちょっと待つか。」
自分のコミュ力のなさに、少し悲しさを覚えた。
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(待ちに待った結果、一週間も経ってしまうとは…。)
中々、春樹くんの興味が失せる事がなかったので、ここ数日間、彼の周りには常に人が大勢いた。一週間経って、やっと彼が一人になるタイミングができた。
(よし、話しかけるか。)
「なぁ、ちょっといいか?」
「え?……………みなとくん?」
俺は少し驚いた。彼が、俺の名前を覚えてくれているとは思わなかったからだ。何故なら俺が彼に名乗ったのは、皆で自己紹介をし合っているときの一回だけ。だから、名前を覚えてくれているとは、思わなかった。
「…覚えててくれたのか?」
思わずそう聞いた。
「う、うん、かんなちゃんから良く君の話を聞くから…。」
ああなるほど、そういう事か。…………ってなぬ!?かんなちゃんだと!?あいついつの間に仲良くなってやがったんだ!?
「えっと……だいじょうぶ?」
俺が黙り込んでるのを心配したのか、心配そうに聞いてくる春樹くん。
「あぁ、ごめん。大丈夫。」
「そう?よかった!」
そう言って。太陽のようなニカっとした笑顔を見せて来る。
(うっ…。かっこカワイイっ…。)
男の俺でも、思わずそう考えてしまった。だが、すぐにハッと自分の用件を思い出す。できるだけ、不自然じゃないように…。
「前から気になってたんだけど、その桜の髪飾りすごく似合ってるね!どこで買ったの?」
よし、上手く聞けた。
「これ?これは、お母さんのお友達に買ってもらったんだ!」
それを聞いて、俺は確信した。してしまった。
(この世界は乙女ゲームの世界だ。)
と。
(´•⌔•`)