29.モブと保健室で①〜桜凪side〜
「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
桐賀溱が保健室から出ていったあと、私は足をバタバタさせて悶絶していた。
「何で私はあんな事をぉぉ!」
そうだ、熱が出ていたとはいえ彼をカッコイイなどと思ってしまった自分に腹が立つ。そして、そのままの流れで、私の秘密を教えてしまった。一生の不覚だ。
「…けど、悪い奴ではないかも。」
そう考えると、確かに彼の行動は善意的な行動しかして居ない。それに春樹との関係を見ても…。
「そういえば春樹の性格、根暗じゃ無かったけど…、あいつが何かしたのかしら…。けど、そんな事…。」
そんな事はほぼ不可能だ。ヒロインである私ならまだしも、桐賀はモブで男。もし彼が転生者で、シナリオを知っていたとしても、あんな悲惨な経験をした彼を救うなんて、容易にはこなせない。となると、春樹が転生者であるという可能性も出てくるわけで…。いや、その件については後回しにすべきだ。
「とりあえず整理しましょう。ハーレムルートの次のイベントの攻略の順番は、秋良との図書館イベント、冬真との出逢いイベント、春樹との出逢いイベント、夏目との救世主イベント何だけど…。冬真以外の出逢いイベントが失敗に終わってるし…。ああもう!どうすれば!?」
ズキっ
そこまで考えて、私の頭に頭痛が走った。あぁ、そうだ。私は、今体調不良なんだった。まぁでも、休んでる暇なんてない。
((俺は、お前が心配だって言ってるんだ。))
そう考えていたが、不意に彼の言っていた事が頭によぎった。
(…そうね、今は休んだ方がいいかも。)
私は、そう頭を切り替え。私は眠りにつこうと、ベッドに横になるのだった。
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「………なぎ。………きろ。」
…ん、誰かの声が聞こえる。…まだ眠い。
「……らなぎ。……きろ」
んぁ、あと5分…。
「桜凪。おきろ!もう放課後だぞ!」
ふぇ…?ほうかご?………………放課後!!??
放課後と聞いて、私は意識を覚醒させ、バッと起き上がる。
「あ、やっと起きたか。おはよう。」
そう声をかけてきたのは桐賀溱だった。
「お、おはよう。」
その瞬間、私の額から重たい感覚がなくなり。すぐさま何かが手の甲に落ちてきた。
(…濡れタオルだ。)
私が自分でタオルを額に乗せた記憶はない。となると、考えられるのは…。私はチラッと彼を見た。
「具合はどうだ?」
その瞬間、私と彼の目があった。そして、私は恥ずかしくなって思わず目を逸らす。
「う、うん大丈夫。」
「?なんで目を逸らすんだ?本当に大丈夫なのか?」
そう聞かれたので、私は恥ずかしさを大きな声で誤魔化す。
「だ、大丈夫だから!!」
「そ、そうか。ならよかった。」
彼が、ふっと笑った。その笑顔は、心底安堵したような、純粋無垢な顔立ちで…。その表情に私は、見惚れてしまっていた。
「あの…、桜凪?俺に何か着いてるのか?」
ぽーっと彼の顔を見ていたので、彼が不思議に思ったのか、そう聞いてくる。そこで、私はハッと我に返った。
「い、いや!別に何も着いてないわ!」
「そ、それならいいんだが…。あ、そうだこれ。」
彼は、自分の荷物からタオルを取り出し、私に渡してきた。
「多分、身体汗で濡れてると思って。そ、そのタオル俺のだけど、まだ使ってないから…。その、良かったら使ってくれ。俺は、一度保健室から出るから。」
「あ、ありがと。」
私は、渡されたタオルをしばらく見つめる。
(ど、どうしよう!!??使っても良いのかな!?いや、けど嫌じゃない??自分のタオルを他人に使われるの。しかもこれ、き、桐賀のタオルだし。でも、使わなかったら失礼じゃ…。)
「その…、嫌だったか?」
彼も恐らく私と似たようなことを考えていたのだろう。そう聞いてくる。
「いや別に!?嫌じゃないけど…。何と言うか恥ずかしい…。」
ああああ何言ってんの私!!??
「そ、そうだよなごめん。」
そこで、シーンと気まずい空気が流れた。
その空気に耐えられず、私は思わず窓の外を見た。
そこで、私はある事実に気づく。
(え!?外、真っ暗!?)
そこまで気づいた私は、保健室の時計を確認した。
7時30分と時計は時間を示していた。
長くなりそうだったので、二話に分けました!再来週の投稿で、やっと主人公sideが戻ってきます…。




