26.桜が吹雪く保健室で〜桜凪side〜
25話ですが、予約投稿のつもりが、普通に投稿してしまいました…。てへぺろ(´>ω∂`)
「失礼しまーす。」
「あら?どうしたの?」
「彼女、体調が悪いみたいで。」
「あら、そうなの?ご苦労様。直ぐに診るわ。」
「お願いします。」
私は、桐賀に支えられて保健室まで来ていた。
しかし私はさっきの事が頭から離れず、ポーッとしていた。そして、彼が保健室を後にしようとする。
しかし、それを私の手が無意識に彼の裾を掴み阻止する。
「さ、桜凪?」
彼が困惑した顔でこちらを見てくる。
「っ!ご、ごめん何でもない!」
(私ったら一体何を!!??)
「あ、ああ。じゃあ、俺は行くから安静にな?」
私が脳内であたふたしている内に、彼が保健室を出ようとする。たが、保健室にスマホの着信音が鳴り響いた。
「あらごめんなさい。私だわ。ちょっと、そこの男の子。私が来るまで、その子を見てあげて。」
(え?)
「え?」
桐賀も私と同じ反応をする。
「大丈夫、電話が終わったら直ぐ来るわ。」
「わ、分かりました。」
お願いね。と先生は言ってから保健室を出た。
「……………。」
「……………。」
き、気まずい。さっきの事が頭から離れない!私何であんなことを!!!まるで私がコイツと離れたくないみたいじゃない!!!
「ほ、ほら。とりあえずこれで熱測れよ。」
そんな事を考えてる内に、彼が私に体温計を差し出してきた。
「う、うん。ありがと…。」
お互い気まずくて、顔を逸らす。
そして体温計を脇に挟む。
ああああもぉぉう!!早く先生戻ってきてぇ!!
1分ほど沈黙が続きやがて、体温計のアラームが聞こえた。
「……測り終わったか?見せてみろ。」
私は、一度自分で体温を確認した。
(うわ、39.8分……。どうしよう…。)
私は、熱とは別の事で悩みながら手元の体温計を彼に渡した。
「は!?39.8分!?お前こんな状態で学校来てたのかよ!?」
彼から返ってきたのは案の定、驚きの反応だった。
「はぁ。何で、学校に来た?これだけの熱だ、起きてから体調が悪かったんじゃ無いか?」
うっ…、鋭い。
「だって、今日はイベントの日だもん…。」
「ん?何だって?」
そのイベントも、コイツに横取りされちゃったけど。
「はぁ。あのな桜凪。確かに学校に来ることは大事かもしれないが、それと同時に休むことも同じくらい大事だ。それに、今日みたいにまた無理されちゃ、今度は俺はお前を助けてやれないかもしれない。」
何を言い出したのかと思えば、どうやら私に説教してるようだ。
「べ、べつに助けなくても…。」
「そういう事を言ってるんじゃ無い。俺はお前が心配だって言ってるんだ。」
「ッ!」
その瞬間、私に懐かしく、どこか寂しい感覚が体全身に走った。
(何で…、あの人と、似たような目をするの?)
「……分かったか?」
「……はい…。」
「ならよし。次は無茶するなよ?」
私は若干のパニック状態に陥った。何故、どうしてと言った思考が私の頭を駆け巡る。
(どうして…。私は、コイツを彼と重ねてしまったのか…。)
ずっと俯いている私を見て、彼が気を利かせてくれたのか、
「座ってるのも辛いだろう。勝手だけど、ベッド使わせてもらおう。運良く誰も使ってないみたいだからな。歩けるか?」
と言ってきた。
…さっきの事は、きっと気のせいだ。彼もこの世界に転生しているなんて、都合のいい事があるはずがない。…もしくは他人の空似だろう。とりあえず、今は動こう。そう考えた私は彼の提案を受け入れた。
「う、うん。」
そして、私はベッドで横になる。
「こんだけ高熱なら早退だろうな。親御さんは仕事か?」
……私の事を言うべき?いや、言うべきでは無い。高校生で一人暮らしは何かと問題だ。ここは二次元の世界では無い。なら、誰にも話さずに隠しておくのが、賢明な判断だろう。
(……でも。コイツなら或いは…。)
そう考えた私は、彼に打ち明ける事にした。我ながら馬鹿な選択だと思う。自分から危険に足を踏み入れるなんて…。でも、確信があった。コイツなら、彼と似ているコイツなら、あの優しさで満ち溢れた目ができるコイツなら、絶対に人を、私を裏切ったりはしない。そして私は打ち明ける。
「……わたし、一人暮らしなの。」
「……そうだったのか。」
彼は、一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに冷静な顔に戻る。
「一人では帰れないよなぁ…。うーん。」
「ごめんねぇ。遅くなっちゃって。」
「あ、先生。お帰りなさい。」
そんな時、先生が帰ってきた。
「彼女の熱を測っておきました。あと、39.8分の高熱だったので、ベッドに寝かせてます。」
「あらそんなにあったの?ありがとう。これは早退ね。親御さんは仕事?電話で迎えに来て貰いたいのだけど。」
「わたし、今。祖母の家に住んでいて、祖母は車持ってませんし…。今の時間は寝てると思います。」
「あら、そうなの困ったわねぇ…。」
私は、横目で彼を見る。しかし、先生に先程の事を言う気配は無い。…どうやら、秘密を共有してくれる様だ。
「早退は危険すぎて出来ないわ。その場合、ここである程度良くなるまで寝てて貰うのだけど、私この後直ぐ出張でいないのよ…。どうしようかしらねぇ…。」
先生がチラッと彼を見た。………まさか。
「仕方ないわ、貴方にこの鍵託すから、定期的に彼女の様子見に来てあげてくれる?」
やっぱり。
「……。何となく予想はしてました…。分かりました。俺も彼女が心配ですし、引き受けます。」
「あらありがとう!けど、変なことしちゃダメよ?」
「変なこと?」
(変なこと?)
私も彼も同じように首を傾げる。
「エッチな事。」
な!?
「な!しませんよそんな事!!」
「ふふ、冗談よ。じゃ、頼んだわね、これ鍵。」
彼が鍵を受け取った。しかし、先生は出口の方ではなく、私の元へ歩いてきた。
(な、なに?)
さっきの先生の発言もあって、警戒心が強まる。
すると、私の顔の横まで先生は顔を持ってきて。
《素敵な彼氏さんね。》
と呟いた。
その瞬間、私の体温が上がった。そして、即座に両手をブンブンと振って否定する。
「ちょ!先生!違いますよ!?」
「はいはい。そう言う事にしといてあげます。」
ほ、本当に違うんですけど…!
「それじゃ、私はそろそろ行くわね。えーと、貴方名前は?」
「俺ですか?桐賀溱です。」
「じゃ、桐賀くん。任せたわよ。鍵は放課後職員室に届けてくれればいいから。」
「分かりました。」
そして、先生は今度こそ保健室から出て行った。そして、彼がこちらへ向き直った。
「さて、具合はどうだ?」
先の事があった手前、彼の顔を見ると少し心拍数が上がる。
「あ、……うん、少し良くなった。」
「そうか、なら良かった。」
彼が安心したように微笑む。
「じゃあ、俺は行くが何かあったら呼んでくれ。あぁーえっと、呼べねぇよな、それなら…。」
彼はメモ帳を胸ポケットから取り出し、紙を一枚ちぎり、何かを書いて私に渡してきた。
(…連絡先だ。)
「何かあったら、これで連絡してくれ。俺はずっとスマホ持ってるから、どうせお前も持ってるだろ?」
「う、うん。」
「おっけ。なら、大丈夫だな。じゃあ、俺はもう行くな?授業中だし…。あと、保健室の鍵閉めとくからな?」
彼が保健室を出て行こうとする。私は半ば無意識に彼を呼び止める。
「あ、あの!」
「ん?」
(あ、えと、えと、どうしよう…!)
この後なんて言おう!?考えてなかった!!えっと、えーと、、そうだ!こんな時はお礼を言って誤魔化そう!
「あ、ありがとう!!」
その瞬間、窓から桜の花吹雪が吹き、カーテンが荒れた。
彼は、私のその言葉に。
「おう!」
と、返した。
カーテンで彼の顔は隠れて見えなかったが、満点の笑顔で笑っているように見えた。
胸がキュッとする。何か、今日は彼がカッコよく見えた。いつもは敵で、私の邪魔ばっかりするのに…。
……………ん?
「そうよ!あいつ!私の敵じゃない!?何騙されてるのよ私〜!!!!!!」
私しかいない保健室で私の悲鳴が、桜吹雪に流れていった。
第一章 第一幕 出逢い編 終
これにて、第一章第一幕出逢い編完結です!第二幕秋良編は次々回からとなっております!今後共、応援よろしくお願いします!ブックマークよろしくね♡




