23.誰ですか…?〜桜凪side〜
「よし、今日のテストが終わったら、あいつを呼び出してさっさと借りを返す!バッチリね、行ってきまーす!」
私は昨日作った「打倒!桐賀溱ノート」を読み返し、家を出た。テスト当日に何やってんだって感じだが、私にとってはとても重要な事である。
「まぁ、テスト大丈夫でしょ。」
私は前世では、東京大学に通っていた。このぐらいのテストは朝飯前である。色々、考えている内に学校に着いた。そして玄関で靴を履き、教室へ向かう。
「いたわ。桐賀溱。」
私は彼を一瞥して、自分の席に座った。挨拶は…、別にいっか。
そして、テストが開始された。………消しゴムちゃんと持ってきたわよね?
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そして、テストが終わり放課後になった。
(よし、後は桐賀を呼び出してジュースを奢れば、貸し借りはなしね。)
しかし、彼はさっさと教室を出ようとする。私は急いで彼に話しかけた。
「待って!」
そう呼び止めると、彼はこちらへ振り返った。
「えっと、どうしたんだ?桜凪。」
「ついてきて。」
「え?ちょっ、何処に?」
「いいから。」
「え?お、おい!」
私は彼の手を掴み、教室を後にした。
(よし、このまま自販機へ向かうわよ。)
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私は自販機売り場に到着して、足を止めた。
「…えっと?で、何か用なのか?」
彼が、そう聞いてくる。
「……どれ飲みたい?」
「え?」
「奢ってくれるのか?」
「うん。」
「えっと、何で?」
彼は、自分が何故奢られるのか疑問に思ってるようだ。なので、私は嘘偽りなく口にする。
「昨日、消しゴム借りたでしょ?そのお礼。」
そう言うと、彼は納得のいった顔をした。
「別に気にしなくていいのに。」
「いいから、選んで。」
「ほんとにいいのか?」
「いいのいいの。」
……少し意外だ。絶対、カッコつけて受け取ってくれないと思ったんだけど…。
「じゃあ、いちごみるくで。」
「いちごみるくね。はい。」
私はお金を入れて、いちごみるくを買って彼に渡す。
「サンキュ。お前、結構律儀なんだな。」
うっ、律儀というよりかは…。
「ここで借りを返さないと、後々何処で利用されるか分かったもんじゃ無いし。」
「ん?何か言ったか?」
「な、何でもない!」
「そ、そうか。」
やば!口に出てた!?聞かれてなかったみたいだからよかったぁ〜。
そんな事を考えていると、彼の後ろから誰かが歩いて来る。
(あ、あれは!!!!?????)
間違いない!!四季恋の春の攻略キャラの篠原春樹君だ!カッコイイ!…………って、へ!?こっちに来る!!??どどどどうしよう!?こんなのイベントにないよ!!??
私が、そう心の中であわあわしていると、春樹君が声をかける。
「おーい!溱〜!」
へ?みなと?
「ん?」
「先行くなら、予め言っといてくれよ。」
「ああ悪い、忘れてた。」
「お前なぁ…。」
え?え?え?何?コイツらどんな関係???
「ん?溱、誰だその子?ナンパか?」
んんんん?ナンパぁ???え??ってか、春樹君ってこんな明るい性格してたっけぇ???あれぇ?根暗設定はぁ??
「ねーよ。クラスメイトだ。」
「何でこんな所で二人きりだったんだ?」
「この前、消しゴム貸してあげたんだよ。そのお礼にジュース奢ってもらったの。」
「成る程、つまり浮気か。かんなちゃんに報告しよう。」
「どうしてそうなるんだ!」
「まあいいや!早く帰ってゲームしようぜ!」
「はいはい。」
わ、私完全に蚊帳の外だ…。と、とりあえず疑問なのは、この春樹君の顔をした陽キャ君は…。
「だ、誰?」
と、思わず口にしてしまったのを桐賀に聞かれた。
「あ、悪りぃ、置いてきぼりにして。こいつは俺の幼なじみの篠原春樹だ。」
だよね????春樹君だよね????え???どうしたの????
「ご紹介に預かりました、篠原春樹でーす!よろしくね子猫ちゃん♡」
「きしょい。」
「グフゥ!」
私は目の前のやりとりに唖然とするしかない…。いや、本当に誰だ。
「悪い桜凪。こいつの言うことは気にしないでくれ……。どうした?」
私は、彼に呼ばれているのに気づかず、ポカーンとしていた。
「おーい。桜凪〜!」
目の前で手を振られて、ようやく私はこちらの世界へ還ってきた。そして、慌てて返事をする。
「っは!ご、ごめんなさい!え、えっと桜凪雪実です!よ、よろしくお願いします!」
…………っぅぅ〜!声裏返って、変な声出ちゃったぁ〜!
「それじゃ。俺たちはこれから予定があるからまたな桜凪。ジュースサンキュな!」
そう言い残して、彼らはその場を後にした。一人残された私は。
「誰ですか…?」
と呟いたのだった。




