21.桜が吹雪く保健室で
「失礼しまーす。」
「あら?どうしたの?」
「彼女、体調が悪いみたいで。」
「あら、そうなの?ご苦労様。直ぐに診るわ。」
「お願いします。」
俺は、桜凪を保健室まで連れてきていた。
(あとは、保健室の先生が居れば大丈夫だろう。)
そう思い、俺は保健室から去ろうとする。しかし、誰かに裾を掴まれた。…桜凪だ。
「さ、桜凪?」
俺は困惑している。
「っ!ご、ごめん何でもない!」
「あ、ああ。じゃあ、俺は行くから安静にな?」
俺は保健室を出ようとする。その直前に、スマホの着信音が鳴った。
「あらごめんなさい。私だわ。ちょっと、そこの男の子。私が来るまで、その子を見てあげて。」
「え?」
「大丈夫、電話が終わったら直ぐ来るわ。」
「わ、分かりました。」
お願いね。と先生は言ってから保健室を出た。
「……………。」
「……………。」
き、気まずい。さっきの事が頭から離れない。ああ!もう俺は皆んなの前で何て事を!!
(と、とりあえず体温を測らなきゃ。)
俺は、机にあった体温計を持った。
「ほ、ほら。とりあえずこれで熱測れよ。」
「う、うん。ありがと…。」
お互い気まずくて、顔を逸らす。
ああああもぉぉう!早く先生戻ってきてぇ!
1分ほど沈黙が続きやがて、体温計のアラームが聞こえた。
「……測り終わったか?見せてみろ。」
俺は、桜凪から体温計を受け取る。数値を見て驚愕した。
「は!?39.8分!?お前こんな状態で学校来てたのかよ!?」
想像よりも、ずっと高かった。こりゃ早退だな。
「はぁ。何で、学校に来た?これだけの熱だ、起きてから体調が悪かったんじゃ無いか?」
すると図星なのか、桜凪がうっとした顔をし
「だって、今日はイベントの日だもん…。」
「ん?何だって?」
また、桜凪がボソボソと何か言ってる。まぁ、コイツのことだ。何か言い訳してるんだろう。
「はぁ。あのな桜凪。確かに学校に来ることは大事かもしれないが、それと同時に休むことも同じくらい大事だ。それに、今日みたいにまた無理されちゃ、今度は俺はお前を助けてやれないかもしれない。」
「べ、べつに助けなくても…。」
「そういう事を言ってるんじゃ無い。俺はお前が心配だって言ってるんだ。」
「ッ!」
「……分かったか?」
「……はい…。」
「ならよし。次は無茶するなよ?」
しかし、どうするか。まずはベッドに寝かすか。
「座ってるのも辛いだろう。勝手だけど、ベッド使わせてもらおう。運良く誰も使ってないみたいだからな。歩けるか?」
「う、うん。」
一応心配なので、彼女を支えながらベッドへ横にならせる。
「こんだけ高熱なら早退だろうな。親御さんは仕事か?」
「……わたし、一人暮らしなの。」
「……そうだったのか。」
まじか、高校生で一人暮らしって本当にいるんだな。何か事情があるのか…?まぁ、深掘りはよそう。
「一人では帰れないよなぁ…。うーん。」
「ごめんねぇ。遅くなっちゃって。」
「あ、先生。お帰りなさい。」
やっと先生が帰ってきた。
「彼女の熱を測っておきました。あと、39.8分の高熱だったので、ベッドに寝かせてます。」
「あらそんなにあったの?ありがとう。これは早退ね。親御さんは仕事?電話で迎えに来て貰いたいのだけど。」
「わたし、今。祖母の家に住んでいて、祖母は車持ってませんし…。今の時間は寝てると思います。」
「あら、そうなの困ったわねぇ…。」
成る程、誤魔化したってことはやはり高校生が一人暮らしは少し問題なのか…。なら、俺もその嘘に付き合ってやろう。それに、さっきより饒舌になってるな。横になって少し楽になったんだろう。良かった。
「早退は危険すぎて出来ないわ。その場合、ここである程度良くなるまで寝てて貰うのだけど、私この後直ぐ出張でいないのよ…。どうしようかしらねぇ…。」
先生がチラッと俺を見た。………嫌な予感が。
「仕方ないわ、貴方にこの鍵託すから、定期的に彼女の様子見に来てあげてくれる?」
やっぱり。
「……。何となく予想はしてました…。分かりました。俺も彼女が心配ですし、引き受けます。」
「あらありがとう!けど、変なことしちゃダメよ?」
「変なこと?」
「エッチな事。」
「な!しませんよそんな事!!」
「ふふ、冗談よ。じゃ、頼んだわね、これ鍵。」
俺は保健室と書かれた鍵を受け取った。すると先生は彼女の方へ行き、何か耳打ちをした。その直後、彼女はボンッと顔を赤く染めた。
「ちょ!先生!違いますよ!?」
「はいはい。そう言う事にしといてあげます。」
何を言ったんだ?
「それじゃ、私はそろそろ行くわね。えーと、貴方名前は?」
「俺ですか?桐賀溱です。」
「じゃ、桐賀くん。任せたわよ。鍵は放課後職員室に届けてくれればいいから。」
「分かりました。」
そう言い残し、先生は保健室を出た。
「さて、具合はどうだ?」
俺が聞くと少し頬を赤らめて。
「あ、……うん、少し良くなった。」
「そうか、なら良かった。」
顔色も少し赤いが先程よりはいい。
「じゃあ、俺は行くが何かあったら呼んでくれ。あぁーえっと、呼べねぇよな、それなら…。」
おれはメモ帳を胸ポケットから取り出し、紙を一枚ちぎり、連絡先を書いて彼女に渡した。
「何かあったら、これで連絡してくれ。俺はずっとスマホ持ってるから、どうせお前も持ってるだろ?」
「う、うん。」
「おっけ。なら、大丈夫だな。じゃあ、俺はもう行くな?授業中だし…。あと、保健室の鍵閉めとくからな?」
俺はそう言って保健室を出ようとする。
「あ、あの!」
「ん?」
そう桜凪に呼び止められる。
「あ、ありがとう!!」
その瞬間、窓から桜の花吹雪が吹き、カーテンが荒れた。
俺は、桜凪のその言葉に…。
「おう!」
と、笑みを浮かべて返した。
カーテンで隠れた彼女の顔は、満点の笑顔で笑っているように見えた。
皆さんこんにちは!ピィです!ここまで読んでくれてありがとう(*^^*)!毎時間投稿はここまでです!次回からは、今月末までは、毎週月曜日の17時に一話投稿になるかと思います!今後ともよろしくお願い致します!ブックマークしてくれた方、ありがとう!!!




