15.かんなが拗ねた。
「はぁ〜、やぁっとテスト終わった〜!」
今はテストが終わって終礼の時間だ。まぁ、明日も二教科あるんだが。
「あの。」
「ん?」
隣の席から話しかけられた。そう、この世界のヒロインこと、桜凪雪実からだ。何の様だと思ったが、そういえば消しゴムを貸していた。
「あの。消しゴム貸してくれてありがとう!」
「おう。全然いいぞ。」
そう返すと、彼女がほっとした様な顔をした。……何故に…?もしかして、俺と話すのがそんなに重荷なのだろうか?ショックである。
(ん?)
そこで俺は、かんながじ〜っとこちらを見つめているのに気づいた。しかも、不機嫌な感じで。
(な、何だ?どうしたんだ?)
そう思っていたら、かんなは俺に向かってべーっと舌を出してそっぽを向いてしまった。いや、何か怒っているんだろうが、可愛すぎて全然怖くない。
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そして、放課後。
「なぁ。かんなどうかしたのか?」
聞いても、つーんと顔を背けるだけで、話をしてくれない。だが、これは見慣れた光景だ。
(かんなが拗ねた時にする反応だ。けど何故今?)
何故かんなが拗ねているのか分からないが、この時のかんなは褒めてあげると、すぐに機嫌が良くなる。伊達に、長年幼なじみをやってないからな。
(そうと決まれば、早速。)
「そんなにほっぺ膨らませて怒っても、可愛いだけだぞ。」
「へ!?」
そう言うと、かんなは顔を真っ赤に染め、こちらへ顔を向けた。
「ただでさえ、お前は何もしてなくても可愛いのに、そんな可愛いことされたら、もっと可愛くなるに決まってるだろ?」
「あ、あ、あ、あ、あ。」
照れているかんなに追い討ちをかける。さぁて、トドメだ。
「お前、めちゃくちゃ可愛いんだからもっと自覚しろよ。」
ボンッ!
あ、爆発した。
「な、な、な、な、な、ななななにぉぉをい、言ってんのぉ!!」
「事実。」
ボンッ!
あ、また爆発した。
(本当に可愛いなぁ。何で春樹と付き合ってないんだ?)
謎である。聞いてみるか、俺が気づいてない様に見せないと…。
「なぁ。お前、前に好きな人いるって言ってたよな?」
「ふぇ!?」
「絶対、相手もお前に脈あると思うから。告白したらどうなんだ?」
「あ、あ、あ、あ、ま、まさかき、気付いて…!」
あ。やべ。気付いてるのバレちゃった。仕方ない、この際白状して真正面からこいつらの恋愛をサポートしてやろう。
「ああ。悪いがバレバレだ。」
ボンッ!
あ、爆発し…、ちょおぉい!?湯気出てんぞ!?
「お、おい!?だ、大丈夫か!?」
「ば、バレてたぁ…。みなとに、私の気持ちバレてたぁ…。」
消え入りそうな声でそう言った。
「そ、そのすまん。けど、やっぱり言っとかないと思ってさ。」
「ま、待って!!まだ、心の準備が!!」
「わ、分かった…。」
心の準備があるのならば仕方ない。ん?何で心の準備が必要なんだ?
かんなが深呼吸をしている。やがて、準備が出来たのか、覚悟した様な顔つきになってこっちを見つめる。
「ど、どうぞ!」
「あ、ああ。お前言ってただろ?お前の好きな人は俺の良く知ってる人だって。」
「う、うん。」
「その時点で気付かないほど、俺は鈍感じゃないからな。」
「う、うん。」
「だから、これからは影でサポートするのをやめにする。」
「う、うん。…………うん?」
「だから、お前らが上手くいくように俺が積極的にサポートする。」
「ね、ねぇちょっと。」
「だからお前も遠慮なく俺に相談して…」
「ねぇ、ちょっとってば!?」
「え?何だ?」
急にかんなが大きな声を上げた。どうしたんだ?
「え?今、誰の何の話してんの?」
「は?お前と春樹が上手く行くようにって話だろ?」
「は?」
「え?」
かんなが唖然としている。え、何で?
「はぁ…。あんた、私が春樹くんを好きだと思ってたの?」
「ああ…。って、その反応もしかして違うのか!?」
「違うわよ!!!」
超大きな声で否定された。み、耳が痛い。
「はぁ。緊張して損した…。」
そう言って、かんなは呆れた様に俺を見た。
(え?じゃあ、こいつ誰が好きなんだ?)
謎である。




