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14.モブのくせに…。〜桜凪side〜


 「ね、寝不足…。」


 私は昨日起こった出来事の事を考えていて、眠れなかった。今日はテストがあるのに…。


 「始め!」


 テストが配られ、先生の合図と共に用紙をめくる。寝不足だが、小さい頃から猛勉強してきたから、高一レベルのテストならば朝飯前だ。


 (あ、ミスしちゃった。消しゴムで……。)


 そう考え、私は消しゴムを取ろうとして固まった。


 (あ、あれ?消しゴムは?)


 必死に机を見渡し、自分の周りも見渡すが、何処にも見当たらない。


 (も、もしかして忘れちゃった!?)


 ま、まずい。このテストで、学年一位を取らなければ、“秋良”とのフラグが立たない!どうしようかと、焦っていると隣から声をかけられた。


 「桜凪。もしかして消しゴム忘れたのか?(小声)」


 忌々しき宿敵の桐賀が小声で声をかけてきた。


 「え?ああうん。そうなの…。(小声)」


 「俺ので良ければ貸してあげるよ。(小声)」


 私はその言葉に少し驚く。


 (あれ?彼が私の邪魔をしたいなら、ここで消しゴムは絶対に貸さないはず…。)


 私は昨日散々考えて、彼は転生者で私の邪魔をしようとしていると結論づけた。確証はまだないけど。


 (何を企んでいるか知らないけど、その手には乗らないよ!)


 「え?けど、悪いよ。私は大丈夫だから。(小声)」


 こう言えば、引き下がるはず。彼も自分のテストが大事なはず。そう思っていたが。


 「いいからいいから、俺もう解き終わってるし。このテスト大事だよ?(小声)」


 (は?早すぎでしょ!)


 まだ開始から30分ほどしか経過してない。しかし、彼のいう通り、私にとっては、すごく重要なテストだ。


 (くっ!コイツに、貸しを作りたくない!後で何に利用されるか…。しかしテストが…。仕方ないか…。)


 私は、コイツに貸しを作るのと、テストの点数を天秤にかけて、結局テストを選んだ。


 「え?ほ、本当に?じゃあ…お言葉に甘えさせて貰います…。(小声)」


 こうなったら仲良くなったフリをしてコイツの化けの皮を剥いでやろう。そう思ったのだが。


 「うん、そうして。(小声)」


 そう言って、彼は微笑んだ。その顔に私はドキッとした。何故なら、彼の笑顔は悪意の一つも見えない、屈託のない優しい笑顔だったからだ。


 (な、何よその顔!わ、私はそんな顔に騙されないわ!)


 と、思いつつも彼にお礼は言った。


 そして、テストに再度取り組んだ。テストは順調に進んだが、毎回消しゴムを使う度に、彼の笑顔が頭にフラッシュバックする。


 (もう!何なのよ!)


 そう考え、悩みの原因の本人に目を向けると、難しい顔をしていた。


 (あれ?テスト解き終わったんじゃ…。)


 そこまで考えて私は気づいた。彼の答案用紙にまだ空欄が残っていた。答えを盗み見るつもりはなかったが、書き間違えをしている解答を見つけた。再度彼をみると「やらかした〜!」っと言わんばかりの後悔の表情をしていた。私は、その表情を見て申し訳なさより、微笑ましさが勝って、思わずふふっと小さく笑ってしまった。


 (……はっ!)


 わ、私今何考えてた!?彼を微笑ましいなんて…!


 「彼は敵彼は敵彼は敵彼は敵彼は敵敵敵………。」


 そう自分を保つ為に小さく呟く。そうして、落ち着いた心で彼をみる。すると彼がこっちを見ていて、目があった。そして、私は目が合った事にまたドキッとした。


 (ああもう!何なのよ!)


 私は思わずプイッと目を背け答案用紙に目を向けた。


 「モブのくせに…。」


 昨日のセリフと同じだが、何処か違うことに私は気づく事が出来なかった。

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