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12.夏目の席に座っていたのはモブ?〜桜凪side〜

時系列が少し前に戻ります。


 私は桜凪雪実、この世界のヒロインだ。そう、私は転生者である。前世で、病気で死んでしまった私はこの世界に転生した。それも、大好きだった乙女ゲーム、“四季恋”の世界のヒロインとして転生したのだ。最初は嬉しくて舞い上がったが、私は冷静にある事を思い出した。実はこの乙女ゲーム、攻略対象の四人が、何かしら深い闇を抱えているのだ。その心をヒロインが癒し、攻略対象たちはヒロインに惹かれていって、結ばれる。というストーリーである。とても、素敵なストーリーだが、私は考えてしまった。私が誰か一人と結ばれてしまったら、他の三人はどうなっちゃうんだろうか…。と。そう考えると舞い上がっても、いられなかった。私は皆んなに幸せになってほしい。私だけが幸せになったらダメなんだ。そう考えた私は、あるエンディングを迎えることを決心する。そう、乙女ゲームあるあるの“ハーレムエンド”だ。私は、清純愛が好きなのだが、致し方ない。彼らを救えるのは、ヒロインだけなのだから…。


 (無事にエンディングを迎えられたら、ちゃんと一人に絞ろう。)


 私は、そう決心した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ついに四季恋の舞台、〆縄高校に入学した。


 (よし、まずは夏目と喧嘩をするところからね。彼は遅てくるはず…。)


 そう整理しつつ、緊張しながら教室のドアを開けた。


 (……え?)


 私の席の隣になるはずの席に、既に誰か座っていた。


 (え?あこ夏目の席だよね?クラス間違えてる?)


 そう思い、教室を確認したが、間違いなく2組だ。席を間違えてるのかと思い座席表を確認してみたが、間違ってない。


 (本当に誰?あ、もしかして席間違えているのかも。)


 けど、そんな間違いする?と思いつつ、自分の席に向かう。取り敢えず名前を聞いてみることにした。


 「ねぇ。あなた名前は?」


 自分が名前を聞かれたと思っていないのか、周りをキョロキョロし始めた。


 「あなた以外に誰がいるの?」


 「へ?俺?」


 そう返事をして、彼は驚いたような顔をした。……そんなに名前を聞かれるの不思議かしら?


 「えっと、桐賀溱です…。」


 そう彼は、答えた。………聞き覚えがない名前だ。


 「誰?こんなのいた?私の隣の席は夏目になるはずなんだけど…。」


 そう頭を整理する為に呟いた。すると、彼が不思議そうな顔でこちらを見てくるので、我に返って返事をした。


 「ごめんなさい。考え事をしてたの!」


 「お、おう。」


 そして、その後もかんなとかいう、ヒロインばりに可愛い女の子が会話に乱入してきた。そして、チャイムがなり先生がやって来たが、彼が席を動く気配はない。どうやら、私の隣は彼のようだ。


 (一体全体どうなってるの!?)


 私は、入学早々頭を悩ませるのだった。

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