9.ヒロイン登場
(まぁ。いっか。)
そうやん。別に隣の席になろうが、関係ないやん。それにちょっと話せる間柄とかになっておけば、ヒロイン達のラブコメが間近で見られるかも知れんやん。むしろ隣の席で喜ぶべきだよね?そんな事を考えていると、横の席からドサっと鞄を置く音が聞こえた。ドキッとして、横を見るとらしき美少女がこちらを見つめ立っていた。恐らく桜凪雪実だ。
(うっわ。めっちゃ可愛いなおい。)
流石ヒロイン、早速クラス中の男どもの視線が釘付けである。すると、別世界に居るかのような彼女が口を開いた。
「ねぇ。あなた名前は?」
聞かれたのは誰だ?俺は周りをキョロキョロする。
「あなた以外に誰が居るの?」
「へ?俺?」
え?俺名前聞かれたの?ヒロインから?
「えっと、桐賀溱です…。」
そう答えると、彼女は訝しげな顔で何か呟いていた。
「誰?こんなのいた?私の隣の席は夏目になるはずなんだけど…。」
俺たちに聞こえない声量で何かブツブツ言ってる。え?怖いんですけど。すると、考えがまとまったのか俺に話しかけてきた。
「ごめんなさい。考え事をしてたの!」
「お、おう。」
さっきの気難しい表情とは打って変わって可愛らしい笑顔になっていた。
「みなと!」
すると、トイレから戻ってきたかんながすごい形相で話しかけてきた。え?かんなまでどうしたの?
「か、かんな?そんなに大きな声あげてどうしたんだ?」
「い、いや。別に。そ、それよりそこの“可愛い”女の子と何か話してたみたいだけど、何を話してたの?」
ん?何か可愛いをやけに強調したな。
「いや、隣の席になるみたいだから、その挨拶かな?」
「ふ、ふ〜ん。別に興味ないけど。」
いやいや、お前が聞いてきたんだろ!
「てか、お前の後ろの席の子なんだからお前も他人事じゃないぞ。」
かんなの出席番号は16番だ。
「あ、そうなんだ。よろしくね。えっと…。」
「桜凪雪実です!よろしくお願いします!」
「か、可愛い…。」
おっと、かんなが攻略されそうになってないか?いや、あの顔を見るに闘争心燃やしてんな。まぁ春樹のライバルになるからか。
「また、知らない子…。しかも可愛い。こんな子“四季恋”にいたかしら…?」
またもや、小さな声でブツブツ何かを呟いている桜凪。
「でも、やった…。みなとと近い席だ…!」
かんなまで何か呟き始めた。
「なぁ。あの二人可愛くないか?」
「やった!あんな子と同じクラスとか神!」
「この学年レベルたけぇ!」
何だか周りまで、騒がしくなってきた。はぁ。
(登校初日から疲れる一日になりそうだ。)
はぁ。とまた大きなため息を俺はついた。




