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クロノスゲート  作者: 無音
1/9

第0話

夏休み。


今日は、小学生の頃まで住んでいたオレの故郷であり実家の、祖父祖母の家に訪れた。




「お前、なんでこっちに住まんのや?」


「爺ちゃん…、何回言わせんだよ…。仕事あるからって前から言っとるやろ! いい加減その認知症直せよ」


「仕事ってお前…今いくつだ?まだガキだろ?」


「だから、、辞めれないんだよ。っていうのも言ったけどな、ずっと…」


「爺さん、その話はもうええやろ。せっかくシューちゃんが帰ってきたのに、そんなつまらんこと」


「そーだよな婆ちゃん! 爺ちゃんは婆ちゃんを見習いや」


「ふんっ、なんでワシがガキに教えられなアカンのや。…おいガキ、あいつの調子はどうや?」


「何も変わってねぇよ」




ピンポーン




「こんにちわー、お邪魔しますー」


ん? 女の声?


「あー! シューラ久しぶり!!」


「エ、エカテレ!?」


「えーなにぃ〜?笑 私のこと『エカ』って呼んでたじゃん。馴れ馴れしくいこうよ〜」


よく遊んだことのあった幼馴染みだ。


「ちょっと婆ちゃん!なんで呼んだんだよ!? 顔合わせずらいって!」


小学5年生の時、この子に告白した。フラれた。それ以降、一緒に喋ることも遊ぶこともほぼ無くなった。そういうこともあって、相手は気にしてないだろうけど久しぶりに会って未だになんか緊張する。


「まーだ気にしてるの?笑 可愛いねー、シューラくんは」


「そ、そりゃあ…! 全然話さなくなったし、多少は… 」


「まぁ、あのときは小学生だったしフラれる側の気持ちなんて考えなかったから、あんまり良くない断り方したっけ? あはは〜 ごめんねー!」


「悪いと思ってるなら今からでも付き合ってくれよ~~」


「はいはい、冗談はさておき」


「至って真面目ですけど!?」


「ねぇねぇ! 都会の暮らしってどんな感じ!?」


「はぁ? お前勘違いしてるだろ。一部に大っきい建物があるだけで別に都会じゃねぇよ。住宅街はギュウギュウだし道路も狭ぇ。むしろこっちの方が住み心地いいな」




ピンポーン



「まだ来客いんのか?」


「あーあー、カレシ呼んだの~! 男と会うって言ったら全然黙ってくれなくてさ~~!」



えぇ???


.

.


「お前がシューラかぁ!! 俺のエカテレ奪おうとすんじゃねぇ!!」


「い、いや、奪ってなんかねぇし…。勝手にエカが家に来ただけだし…」


「何だその呼び名はぁぁ!!」


「そんなこと言っておきながらシューラ、さっき私に「付き合ってくれよー」って言ってなかったかなー?」


「あぁ!? それは聞き捨てならんなぁ!」



__


「あ、僕がお茶入れますよ。お婆さんはゆっくりしていてください」


「ありがとねぇ~」



ミン ミン ミン ミン


「ぁー、それにしても暑っちぃなー…」


ジンメリとした空気が、汗をタラタラと流させる。


「シューちゃん、久しぶりに帰ってきたんやから結界触っていきなさいな。エカテレちゃんとカレシくんと一緒に3人で」


「賛成!! 行こーよ行こーよ! 私も久しぶりかも!」


「えー、面倒くさい。つーか、なんでお前がはしゃぐんだよ。いつでも見れるだろ」


「うっさいなぁ。どうせシューラ暇なんだし行こうよぅ」




***



ミン ミン ミン ミン


「暑っちぃ…」


エカテレを真ん中にして3人で歩いて結界へと向かった。



「あ、ここって良くシューラと遊んだ場所じゃん!」


「うわ、懐かしっ。エカが木から落ちて泣いてた場所だww」


「もうっ! なんでそんなの覚えてるの!」


「おいっ、お前らだけの思い出に浸ってんじゃねぇぇ」


「確かここだよな、初めてマルチナ姉さんに会ったのって。その日からよくお世話になったなぁ」


「うわぁ…、またあの無邪気な頃に戻りたいなぁ…」


「俺もその思い出に入れさせろぉぉ」


「マルチナ姉さんとは今でも会っているのか?」


「ああシューラ知らないの? マルチナさん、もうここに住んでないよ。結構遠くの場所で働いているんだって」


「へぇーそうなんだ」


「俺の話聞いてんのかー!」


「ちょっとカレシさん、うっせぇです」


「マーくん、私たちは私たちで、これからいっぱい思い出作っていこうねーー」


「もうぅエカテレったらー!」


「何だこのバカップル…」




______


「こんにちわー」


「あら!いらっしゃいマルチナちゃん!」


「叔母様お久しぶりです!シューラくんはまだ来てないんですか?」


「さっきエカテレちゃんとカレシさんと3人で結界の方へお参り行かせたわ」


「早くあの子の顔が見たいな~。あっ、それいえば休み貰えたんでしばらくの間ここに滞在しますね」


「あらっ。それは良かったねぇ~」


「ふん、さっさと仕事に戻ればええんや」


「お爺さんっ!!」


「あはは…。叔父様は相変わらず頑固ですね~~」



______




「これからもマーくんと手を繋いでいけますように」

「エカテレと離れませんように」


バカップルは互いに結界を触れ、目を瞑ってそう願った。



「はんっ、そんなんよりももっと大切な願いがあるだろ」


「あぁ…!!?」


「な、何よー! じゃあアンタの願い事言ってみなさいよー!」


「しゃーねぇなーー」


オレは結界に手をかざした。触れたところから波紋が広がる。



「世界が、平和になりますように。だろっ?」

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