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【完結】タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。  作者: 渡里あずま


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休日にいざ出陣!

 名称は違うが、この世界の一週間も七日で、土日にあたる曜日は学校や店が休みになる。

 何故、一週間の話になったかと言うと、サマンサの店を再開する時に、休日をどうしようという話になったからだ。

 ちなみに夫であり、料理人だったイーサンが生きていた時はどうしていたか聞いたら「休みの時に外食したい人もいるだろうからって、週六日働いて、週末の一日だけ休んでたわねぇ」と言われた。若い頃ならともかく、お年寄り二人でよくやっていたなと思う。

 そして今も、サマンサは給仕を頑張ってくれているので、休日は週二日。ただしサマンサが恐縮するので、前世で言う土曜日の休みはそのままで、更に水曜日も休むことにした。そんな訳で本日は、週の真ん中の休日である。


「今日はよろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 昨日、パーサから貰った書類はサマンサやランも目を通した上で記入した。メルは字が読めないので、アガタが書類の概要を説明して了承を得た。

 書類もだが、パーサはやはりどこからか今日、城に着ていく為の白に、胸元には赤いリボン。襟や裾に金糸の刺繍が施されたワンピースや靴も取り出した。

 流石に不思議に思って尋ねると、ニッと笑って種明かしをしてくれた。


「アンタやおふくろみたいに、結界作ったり精霊の付与は出来ねぇけど……精霊の力を借りて、他の奴らには見えない空間内に、物を『収納』することが出来るんだよ」

「えっ!? ラノベとかで見た『アイテムボックス』って実際、あんの!?」

「あい……?」


 パーサの言葉に反応したのはアガタではなくランと、そのランの言葉が聞き慣れず、首を傾げるメルだった。聞き慣れなさ過ぎて、ひらがな発音になっているのを可愛いと思う。


「遠い国の物語にあるのよ。今のパーサみたいに見えない空間に物が収納出来て、しかもそこに入れておくと冷めないし腐らないの」

「すごいお伽噺だな! そりゃあ、結界の応用だから多少は長持ちするけど……普通に冷めるし、あんまり長く入れてると腐るぞ?」

「なるほど」


 そう言って笑うパーサに、結界の応用と言われれば納得するアガタだった。

 話を戻すが、そんな訳で今日のアガタはパーサの用意したワンピースを着て、最近では調理中だけではなくても一つに束ねている茶色い髪を下ろしている。サマンサの店で賄いを食べているおかげか、昔のようにガリガリではないのでちょっとは着こなせている気がする。


「アガタ様、素敵です! 僕も頑張って、素敵なドレスをプレゼントしますねっ」

「ありがとう、メル」

「その為にも今日を乗り越えないとな」

「ええ、ランさん」

「いってらっしゃい、アガタちゃん! ごちそうは作れないけど、この店で皆が帰ってくるのを待ってるわね!」

「ありがとうございます、サマンサさん」


 一緒に城まで来てくれるメルとランに、そして彼女達を待ってくれるというサマンサにそう答えると、アガタはパーサから貰って記入した書類を差し出して言った。


「パーサさん、今日はよろしくお願いします!」

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