表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。  作者: 渡里あずま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/40

旅立ちに向けて

 話が終わったタイミングで、コニーから食事が出来たと声がかかった。メルは黙って鳥のフリをし、ランもせっかく来たからと一緒に食べることになった。


「今日も、美味しい……」


 鶏肉を噛みしめながら、アガタはしみじみと呟いた。

 生姜焼きというだけでも美味しいのに、蜂蜜を加えることで柔らかさと甘さ、コクが出て更に美味しくなっている。しかも、一緒に米までついていて驚いた。皆、普通に食べているがおそらく、初代語り部が見つけて獣人達に広めたのだろう。


(生姜焼きにはお米よねぇ)


 昨日の夜と今日の昼で、アガタは今までのエアヘル国での十日くらい――いや、量はそうだが以前は肉など出されなかったし食欲もなかったので、それこそ両親と死に分かれて以来の満足感だった。今、思えばパンだけで十年以上とは、栄養面的にも酷いブラック企業だ。


(これでまた、頑張れる)


 お風呂も入れたし、疲れも取れた。あとは『お礼』をして、メルとまた旅立とう。

 ここはとても居心地が良いが、昨日の様子を見る限り人間の自分がいては、獣人達を不安にさせてしまう。それでは、駄目だ。

 そう思っていたアガタの耳に、思いがけない言葉が届いた。


「俺も行く」

「……えっ?」

「ダルニア国に行くんだろう? 昨日までの感じだと、しばらくエアヘル国には行かない方が良さそうだ」


 ランの言葉に、今までは結界で守られていたのに、魔物が現れたという話を思い出した。神官達がいるのでいずれは復旧すると思うが、確かにしばらくは様子見の方がいいだろう。


「でも、ラン……捕まらない? 大丈夫?」

「ああ。フード付きの外套を着れば、耳も尻尾も隠れるし。ダルニア国にも蜂蜜の買い手はいるからな。それこそ、アガタの身の振り方が決まるまで面倒見てやるよ」

「……ありがとう。助かる」


 元々面倒見は良さそうだが、同じ転生者ということで更に気にかけてくれたのかもしれない。今まで箱入り娘状態だったので、ランの申し出は本当にありがたかった。肩に乗ったメルも、拗ねたように羽根を膨らませているが、止めてはこないので同じ気持ちらしい。


「もう行くのですか? あと、一晩……いえ、数日くらいしっかり食べて、休んだ方が」

「いえ、十分お世話になりました。本当に、ありがとうございます」


 優しいコニーが引き留めてくれたが、甘えてはいけない。そんなアガタの気持ちが伝わったのか、ロラは笑って頷いてくれた。


「解ったよ。ただ、弁当くらいは持っていきな。ありものだけどね」

「ありがとうございます! あの……お礼に、結界張らせて貰っていいですか?」

「「「えっ?」」」


 お金のない(むしろ、これから貰うことになっている)元聖女のアガタに出来ることは、これくらいだ。

 目には見えないが、精霊はエアヘル国だけではなく世界中にいる。だから理論上は、エアヘル国を出ても結界を張ることは可能な筈だ。


(ランやロラさんが驚くところを見ると、結界については知識がないのね……エアヘル国独自のものなのかしら?)


 と言うか、理論的には可能だが実はエアヘル国以外では出来ないとか――言ってから心配になりメルを見ると、大丈夫というように頷いてくれた。

里を出る理由を書き加えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ