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第41話 一応発注しました。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!

 こんにちは、勇者です。


 女子組(男の子混在)と別れて、自分とエルヴィンさんは一緒に街を回ることにしました。


 武具店に着くと、自分は店主に伸びてしまった魔王の短剣の新しい鞘をこさえて欲しいと頼みました。

 もはや短直剣とでも呼ぶべきそれの型を取ってもらい、値段の兼ね合いで素材を選び仕立ててもらいます。出来るのは三日後だそうです。


ついでに双剣のほうも研いでおこうと店先の研ぎ器を借り、少しずつ刃を整えます。


 一通り作業を終え店主に声を掛けて店を後にすると、さてやることが無くなってしまいました。

 旅立ったとは言っても王都を出てから一週間も経っておらず、特に買足す物もないのです。


「さて。もう自分の所用は終わってしまったんですが……エルヴィンさんは何か見たいものはありますか? よかったらお金も立て替えますので」


『いや、これ以上は――――うむ、せっかくだから少し付き合ってくれ』


 そう言ってエルヴィンさんが向かったのは、商街をさらに越えた職人街でした。あちこちと覗きながら歩き回っていると、どうやら目的の場所を見つけたようです。


 そこは木材加工を行う職人の工房のようで、店先からは濃い木の匂いがむわっと噎せ返ってきました。


『すまないが通訳を頼めるか?』


「はい、お安いご用です。すいませんおじさん!」


 自分が奥で作業をしているがたいの良い職人に声を掛けると、ちょっと面倒くさそうにのそのそと歩いてきました。


「あぁ? なんだ、客か?」


「はい、ちょっとお願いしたいものがあるんですが、えっと……? リンデンって木の木材ってありますか?」


 エルヴィンさんの言うことをそのままに口にして、職人さんに説明していきます。


「リンデン? まぁあるにはあるが、少し高いぞ?」


「はい、大丈夫です。それをですね――あぁ、はい。こんな感じの木札にたくさん加工してほしいんですが」


 エルヴィンさんから何も書かれていない木札を手渡され、それを職人さんにまた渡します。

彼はそれをじっくりと観察し、その造りにつまらなそうにしながらも出来ると答えました。


「その大きさの物を明日までに百枚ほど作ってほしいらしいんですが、できます?」


「あー、まぁ研磨もせずただこの形にするだけなら問題ないぞ。明日までには用意できる」


「ではお願いします。材料費込みでおいくらですか?」


 職人さんが算盤をパチパチ弾き提示された額を見定めて、自分は少し多めのお金を渡します。


「出来れば朝一に欲しいそうなので、これで如何でしょう?」


「おぉ、こんなにかい? てっきり値切られるかと思ったぜ。わかった、明日の朝には渡せるようにしておく」


「お願いします。その際は彼が取りに来ますのでよろしく」


 工房を後にする時にちらりと職人さんを振りかえってみると、渡された金を見てウキウキした様子でした。ちょっと色を付け過ぎましたかね?


『すまんな。また立て替えてもらって』


「いいですよこれくらい。この念話(テレパス)みたいなのをいっぱい作るんですか?」


『そうだ。予備の在庫はみんな森に置いてきてしまったからな。一応商売道具なんだ』


 そう言ってエルヴィンさんがコートの前をちらりと捲ると、その裏地には文字が書かれた木札がたくさん括りつけてありました。ずっとカラカラと音がしていたのはこれだったんですね。


『リンデンの木材は魔力を貯めたり通しやすい性質がある。それに俺のオリジナルの魔法公式を書くことで、詠唱せずとも魔法を使えるようにしているんだ』


「なるほど……これってひょっとして使い捨てなんですか?」


『君に持たせた補助魔法の類いなら、魔力を足せば使い回せる。攻撃魔法や高位の魔法になると、やはり使い捨てだな。だから数がいるんだ』


「はぁー、様々な魔法を求めて旅をしているだけあってすごいことを考えつくんですね。木札に魔法をストックするなんて」


 改めて念話の木札をジッと観察すると、自分が思っていたより細かく魔法公式というものがインクで書きこまれています。これ一枚作るのにどれだけの労力がいるんでしょうか。



 エルヴィンさんの用件も済むとちょうど一時間が経った頃合いで、自分たちは街の噴水広場に戻りました。まぁ予想通り女子たちは戻っていません。


「はぁ、これは気長に待つしかないですね」


『女というのは服のことになると長いからな。ところでグレイ、すまないが俺も別行動を取りたいんだ』


「あ、はい。それはいいですが何処に?」


『流石にこれだけ金を借りっぱなしでは座りが悪い。ちょっとギルドへ行ってクエストをこなしてくる』


「え、でも温泉は? それに一人で大丈夫ですか?」


『あぁ、問題ない。温泉は大して興味もないからな。君たちが羽を伸ばしている間に俺は少し稼いでくるよ。その念話の木札は君に預けておく』


 そう言ってエルヴィンさんは斡旋ギルドを探しに歩いて行ってしまいました。……一人にされてしまって、ちょっと寂しい。


 女子組が戻ってきたのは、その更に二時間後のことでした……。


ここまで読んで頂きありがとうございました。

水着回と言ったな、あれは嘘だ! ごめんなさい時間の都合とボリュームの関係で次回に回すことになりました。ごめんなさい!(土下座)


これまでブクマ、☆評価して下さった方々に心からの感謝を!

初見な方、面白いと思って下さった方。もし宜しければブクマやご感想等、

そして下の☆ポイント応援で評価して頂けると、エルヴィンさんが魔法の木札ガチャを一回まわさせてくれるかもしれません!


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