表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/144

第0話 一応これが始まりでした。

 それは幼いころの彼が抱いた夢のお話、そしてこれから続く努力の始まり。

「たぁー! とやぁー!」


 洗濯物干すお母さんの横で、自分はいま剣の稽古中です! 手にするのはでんせつの剣、拾ったのは裏山だよ!


「そんな木の棒振りまわして、また勇者ごっこしてるの?」


「ごっこじゃないです、勇者の練習をしてるんです! 自分がおとなになってすごい仲間をあつめたら、わるいマオウをギッタンギッタンにするんです!」


「……その喋り方、ひょっとしてお爺ちゃんの真似? 礼儀正しいのはいいけど、オレとかのほうが格好良いんじゃないかしら」


「自分は自分です! オジジのしゃべり方っておもしろいんだもん! 自分はこれでいきます! 「流行の発信源」になるんです!」


「.......何処のお貴族さまよ。それが流行るとは思わないけど、まぁ丁寧ならいいんじゃない」


 お母さんはそう言うと、ぼく――じゃなかった、自分の頭をグリグリ撫でます。恥ずかしいからやめて!


 ……やっぱりあと十秒くらいしたらやめて!


「それで、勇者様は今日はどんな冒険をしてきたのかな?」


「険しい山みちをのぼり、巨大なオオカミとたたかったのです! 自分はみごとに追い払って、報酬に伝説の、かじつ? を手に入れました!」


「裏山のお爺ちゃんとこに行って犬を追いかけ回したのね、あんまりいじめちゃダメよ。あと森の中で木の実を拾い食いしないって約束忘れたの?」


「わ、わすれてない……でも報酬だから! 食べないとしつれいだから!」


「誰に失礼なんだか。もうやっちゃだめよ」


 ハァとお母さんがため息をつきます。よかった、おこられなかった……。


「ねぇ! お母さん、あれ読んで! いつものやつ!」


「またぁ? もうこれで何度目よ。本当にあの勇者の絵本が好きね」


「だってすごいんだよ、かっこいいんだよ! こまった人や、本当は倒さなきゃいけないマモノだってたすけてあげるんだから! あー、はやく自分も勇者になれないかなぁ」


 きっと大人になったら、本の中に出てきたようなキレイな魔法使いのおねえさんや、頼りになる剣士とか、たくさん仲間をあつめて冒険するんです!


 村から出たらすぐに勇者になって、こまっている人やかわいそうなマモノも助けてあげなきゃ!


 かっこいい剣とか、キラキラな鎧もほしいな! きっと自分はすごい勇者になるんです。ふふふ! 自分が世界を救う!


 ……なにか、かっこいい名乗りとか考えたほうがいいかな?


 う~ん、そうだ!


「こんにちは! 勇者です!」


 それを聞いたお母さんがクスッと笑って、また頭をなでてきます。ほめられたので、どうやらとっても良いみたいです!


 よし! これから自分はこうやって名乗りますよ!


 こんにちは、勇者です!

次回より本編です。

よろしければブクマや広告下の☆評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ゆうしゃが明るいと感じた [気になる点] 今後の成長を見守る [一言] なんかこういう緩いのも好きだな。更新頑張ってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ