平和な島国
どうやら現世が荒れてるね。
…これも、日々の退屈を憎んだ君たちが、心の隅で望んだことなんだろう?
良かったね。どんな形であれ、君たち人間の願いは『呪い』で叶ったんだから。
…そうだなぁ、次は呪いの犠牲になってしまった哀れな隣国の話でもしようか。
むかしむかし、あるところに平和な島国がありました。
その国は、海の向こうの国から逃げてきた人たちが持っていた呪いを受けてしまいました。国民たちは、このままでは自分も死んでしまうと焦りました。
その時、ある形のないモノがこう呟きました。
「こうなったのは誰のせい?」
人々はこう答えました。「この国に来た感染者たちのせいだ。」「感染者を引き入れた大臣のせいだ。」「ここに国民を逃げさせたあの国の大臣のせいだ。」
形のないモノの呟きで、島国の人たちは、この状況を誰かのせいにしようと考え出しました。
数日経つと、国全体に呪いが広がり始めて、死んでしまう人もいました。けれど、暇な一部の人々は争う事をやめませんでした。
「呪いが広がり始めている。」「こうなったのは誰のせいだ。」そればかり繰り返して、1日を過ごすのでした。
大臣は、全体に広がり始めてようやく国の子どもを外へ出させないようにしました。
それから呪いが消えるまでの間、異国の人に踏み荒らされる事もなく、静かに過ごすことができました。
その間退屈な人たちは、悪い国民の首を切って遊んだり、さらして燃やしたりしました。
平和な島国は、一瞬にしてみにくい悪魔たちの住処になりました。
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