呪いのつきあい
疫病。歴史の節目に蔓延ると言われる不治の呪い。
…君たちの中で有名なのは、『黒いバラ』と『二人の令嬢』かな?
昔の人達は、遺体や感染者を焼いたり隔離とかして早急に対処してたみたいだね。
頭が良いなぁ。
利益を最優先にする今とは違ってさ。
むかしむかし、大きな国の中にある小さな村が呪いにかかりました。
最初は呪いで3人死にました。次の日にはその2倍の人が死にました。それは、呪いにかかった人の近くにいると、元気な人でもかかってしまうものでした。
さらに呪いは国全体にも広まり、国の至る所で次々と人が死んでいきました。
国民は恐れました。その時、ある人が言いました。
「このままではいずれ私たちも死んでしまう。そうだ、隣の島国や遠くの陸地へ逃げよう。そこには呪いはないはずだ。」
生きていた人たちは、次々に自分の国から逃げ出しました。
もちろん、そこに住む人たちは拒みました。
「来るな感染者め。私たちを巻き込むな。おまえたちのせいで私たちも死んでしまったらどう責任取ってくれる。」
「何を言う、私たちは呪いにかかってなどいない。別にいいだろう、私たちだって生きたいんだ。生にしがみついて何がわるい?」
しかし、その国の大臣たちは彼らを受け入れました。
すると、その言葉どおり、その国の人々にも呪いが出てきてしまいました。そして、次々と呪いにかかって死にました。
それもあって、逃げてきた人たちはさまざまな場所で恨まれるようになりました。
何の罪もない隣国の人は、呪われた人たちとよく似ていたため、他の国の人たちに一括りにされて恨まれました。
逃げてきた人たちは元気でも、数人のからだにはすでに呪いがかかっているのでした。
人がほとんどいなくなった大きな国で、勇気のあるお医者さんが声を上げました。
「大臣たちは嘘をついている。死んでしまった人たちがそんなに少ないはずがない。事実を話せ、卑怯ものめ。これ以上のいんぺいは、余計に我々を、そして、他の人たちを怒らせると知れ。」
大臣たちは、国どうしの関係を有利に保つために、嘘をついていたのでした。
お医者さんによって暴かれた嘘を、大臣たちは顔をまっかにして「これこそ嘘だ。我々を不安にさせようとしている。」とののしりました。
勇敢なお医者さんは、自身も呪われて死んでしまいました。
その後、いろんな国が呪われない方法を考えだしたおかげで、呪いは少しの間だけ消えました。
けれど、世界と神さまは、呪いで死んでいった人のことをを誰一人として覚えてはいませんでした。
重要
『フィクション』だと言うことを前提として読んでくださいね。
それぞれの立場になって考えて見れば、何か見つかるかもしれないですね。