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あした、そこに君が立っていたら

あした、そこに君が立っていたら 3

作者: うべば

ちょっとだけ続いてみます。

ミサキ・・・主人公「僕」、女性で幽霊

カナエ・・・自殺しようとしていた少女、僕と話すことも触ることもできる。

タケル・・・僕が友人と勝手に思っている少年

サトシ・・・同上

 僕は幽霊だ。

しかし僕は別に死んだ場所に縛られる、俗に言う地縛霊と言うものではない。

空を飛ぶことはできないし、足もちゃんとついている。

物を動かすことはできないけど触ることはできる。

なのでバスや電車に乗って移動することもできる。

前に一度飛行機に乗って北海道まで無賃搭乗したこともあったがあまり遠くに行きすぎると物に触れることすらだんだんとできなくなることがわかった。

つまり僕が海外へ行こうとすると航路の途中、概ね海のどこかで飛行機や船をすり抜けて海に落ちてしまうのだ。

それで死ぬことはない(と言うかもう死んでいる)と思うのだが逆にそれが怖い。

海の水に触れることもできなければ地殻に触れることもできなければ私はどこに落ちていくのか。

そして落ちた先でも私は意識を持ったままになるのか。

それ以来僕はあまり遠くへは行かないようにしている。

思い返すと今でもゾッとする話なのでこの話題はこのくらいにする。


僕は幽霊なので普通の人には見えない。

普通の定義は難しいがとりあえず一番わかりやすそうな言葉として『普通』と言っておく。

動物や小さな子供には時々僕が見える者もいるようだ。

自称友人のタケルが2歳の頃はよくタケルの家で一緒に遊んであげたものだ。

まぁその時の記憶はタケルには残っていないのであろうが。

どうやら3歳から4歳間くらい、有り体に言えば『ものごころ』がつくくらいに人は僕のことが見えなくなるらしい。

声も聞こえなくなる。

寝ている人に話しかけるとたまに反応してくれることはあるが。


他にわかっているのは死者同士ではお互いを見ることも声を聞くこともできないと言うこと。

ただ何となく感じることはできる。

そして感じることのできる死者は全て自分で命を絶った人間だけ。

よく死ぬと地獄や天国て行ったり未練を残すと地縛霊になったりと聞くがそれとは少し様子が違う。

どちらかと言うと自殺した人間は現世に取り残され、寿命や殺されて死んだ人間はどこか違う世界、天国や地獄、もしくは生まれ変わって『こちら側』には来ないらしい。

死んでから随分経っていると思うがなにぶんこちら側には僕一人しかいないのでこの世界のルール?のようなものを理解するのはなかなか難しい。


特に前例がなかったものに対しては僕も全くわからない。

どうしてカナエは僕と話すことも触れることもできてしまうのか。

僕の認識は死のうとしている人間には僕の声が聞こえると言うこと。

こちらからものに触れることは出来るが押し返されるだけで動かすことはできない。

だから生きている人に触ってもその人は僕に触られたことに気づかない。

もしかすると一度僕のことを認識すると話せるようになるのか。

今まで2度僕の元を訪れる人間はいなかったのでもしかするとそうなのかもしれえない。

ただ、もしも僕を認識出来るものが今まで考えていた『死のうとしている』人にしか見えないと言うものであるならばカナエが今どう言う心境にあるのかが気がかりだ。

もっと素直に言うなら心配なのだ。

もう自殺はしないと行っていたしいじめと戦うと言う決意も嘘ではないと思う。

それでも僕との干渉度合い、繋がりがどんどん強くなっていることを考えると不安を感じずにはいられない。

もしかしたら僕が関わることでカナエをこちらの世界に『呼んでいる』のかもしれないとも考えてしまう。

どうするべきか・・・。


次の日も朝早くにカナエは橋にやってきた。

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