クリステル=アディール 8
研究所の分室は思っていたより広く、ほとんど植物で埋め尽くされていた。
「手狭なところ申し訳ありません。こちらのテラス席へどうぞ。ここの研究室は、主に植物を研究しています。良かったら、周りの植物をご覧ください。私のことはダストとおよびください。こちらは助手のメレイカです。」
案内してくれたのは、研究職員のダスト=スティーブンと助手のメレイカ=ラゼルだった。
クリステルは、植物で囲まれたテラス席を案内された。テーブルには、紅茶のティーカップが置かれていた。クリステル達はは、紅茶を飲んで一息ついた。
「アディール家のクリステル様がこんなところに来られるなんて…!」
「メレイカ様、そんなに大袈裟にしないでください。今回は私用できています。研究職について興味がありまして、伺ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。研究所でもいろんな分野がありまして、商業を研究して開発するものや、薬を研究するもの、ここみたいに植物の生態を研究している人もいます。研究費は、国から支給されていて成果次第で賞与金、勲章や、貴族の位など貰えます。開発しているところは商品を売って、生計をたてたり、研究費に当てることもできます。」
研究所によって、私が物心つくときには、生活用品や食生活などすごく発展していた。私が前世で使用してたドライヤーや、冷蔵庫など電気製品は、この世界でもう開発されており、電気の代わりに魔法石を使用している。私が思いつく、前世でのプリンやケーキなどお菓子についてもレシピがあり、再現されている。私の他に転生者がいたのかしら…
「ダスト様は、何を研究されているんですか?」
「私は、未開拓地の植物や果実などを研究しています。ただ、あまり進すみがわるく…。本当は、未開拓地に実際に行って研究したいのですが、研究費用がとれない状態で…。」
「あら…」
「植物を購入するだけで、研究費が無くなってしまうんですよ。ダストは珍しいものばかり仕入れるので…」
ダスト様は、隅に置いてある鉢植えをみながらがっかりしている。私は、紫色の花がたくさんついている鉢植えの側に近づいた。
この匂いは……
前世で私が好きだった匂いに似ている。会社で疲れて帰ってきたときにこの匂いで癒されたりしたなぁ。
「ダストさん、このお花ってたくさんありますか?」
「この前、たくさん購入しています。この地でもたくさん繁殖できる安全な花です。花が小さいからか、すぐ散ってしまうのが早くて花束にもできなくて…」
「ポプリってご存知ですか?」
ダスト様もメレイカ様も、顔を見合わせて首を傾げた。
この世界では、ポプリという存在がないのかしら…。
「この花を乾燥させて袋にいれると、いまのよい香りを持続することができます。あとは、試してみないと分かりませんが、枕元などに置くとリラックス効果もあるかと思います。あとは、暖かくして目元に置くと目の疲れにもよいと聞いたことがあります。」
メレイカ様が私の手をとり、羨望の眼差しを向けた。
「クリステル様、どうか詳しく教えてください。」
「ええ、私でよろしければお手伝いさせてください。その代わり、私が気になっている資料を取り寄せていただきたいです。」
「もちろん、用意いたしましょう。」
こうして、研究室分室でお手伝いすることになりました。




