クリステル=アディール 5
「こんな所で逢い引きか?」
教室を出たところで、赤髪の美男子に声をかけられた。
「失礼ですが、どちらさまで?」
「近くで防音魔法が発動してたから、確認しききただけだ。そしたら中からウェールズ殿下が出てきた。その後に君が出てきたから、中でなにしてたのかと思ってな。」
「どなたか知りませんが、詮索するなんて恥ずかしいことですよ。」
「ライアー=レイモンドだ。騎士科に所属している。君の2学年上だよ。詮索されるような行動は、慎むことだな。」
「クリステル=アディールです。それは、殿下にもいっていただかないと。あなたにそんなこと言えないと思いますけどね。」
挑むような目線を交わすと、ライアーは微笑えんで、その場をあとにした。
「君とは、またあとで会うかもな。」
なにあれ。初めて会うひとに不躾な人…。
それよりも、殿下との婚約をしないためになにか策を練らないと。この学園で、仕事を見つけてフェードアウトするっていう計画はだめね。王命なんて出されたら、従うしかないし。
王命をだされても、びくともしない何かが必要ね。
クリステルは、考えをまとめてあることを閃いた。
「まずは、フィンに聞いてみないと。」
殿下と婚約する前に、誰かと婚約しちゃえばいいんだわ。