クリステル=アディール 3
「はい、ここまでで今日の生物の授業は終了します。」
マルセイユ学園は、日本と同じような教科があり親しみを感じやすい。その他に、異世界特有の魔法や、貴族が通う学園らしいダンスや作法の授業もある。
「クリステルは、作法の授業の手紙交換の相手は決まってるかい?」
「まだよ。フィンは、決まってるの?」
フィンとは、小さい頃からの幼なじみで家同士の身分も丁度よく、私の婚約者候補だった。
「ナターシャ様は、どうだろうか。」
「お姉さま?きっと喜んでくれると思うわ。手紙を交換するだけなら、学園外でもいいのよね。」
「うん、学園外でも大丈夫だ。クリステルは、ウェールズ様にしたらどうだ。婚約を打診されているんだろ?」
「冗談じゃないわ。あの王子との婚約が嫌で学園にはいったのに!婚約なんてしないわ!」
「それ、婚約候補だった僕にいうことかな…」
「フィンは、お姉さまが好きなんでしょ?私と婚約しなくていいじゃない。」
「僕だってクリステルは、できの悪い妹みたいに思ってるからね。綺麗な顔にみんな騙されてるし…そのかわりにナターシャ様のあの儚げなお姿…守ってあげたくなるよね。」
クリステルは、フィンのかかとを踏みつけた。
「いたたたたたたたた」
「皆が私の顔で判断してるだけじゃないの。」
「クリステルの性格わかってるのって、ナターシャ様と僕とその王子くらいなんじゃないのかなぁ。」
そんなことくらい自分だってわかってるわ。
だから学園にきたのよ。
自分で自分の人生をつかみたいから。