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7話 職業チートをカモる重

前回おさらい

魔法部門に行ったら死にそうになったから、機械部門に行ってみる


 魔法部門から出た俺は、機械部門に足を運んだ。


 魔法部門から二つ下の階に機械部門と科学部門はある。この建物の構造の不思議な事不思議な事。案内図もない、何の目印もない、迷子になれと言わんばかりだ。エレベーターは横移動なのに(俺の体感では)階段は普通に上下の作り。脳内でマッピングしようと思っても難しい。しかも、下に行けば行くほど人に会わない。いや、階段を使う人が居ないのかもだけど。

 二階下にあると桜さんは言っていた機械部門。桜さんの二階はエレベーターでって事だったらしく、階段では言えば四階下だった。二階下には何があったかって? はははは、大きな豚が歩いてた……

 この階かな? って覗き込んだら、目の前にでっかい豚だ。何の匂いもしない、豚。小さな目が俺を見た。普通の豚だったら良いんだけど、だけども! その豚に「迷子なの?」って言われてみ。日本語を、喋る、大きな、豚。綺麗な日本語ですね、と言えた俺偉い。ここは特務課だ、豚が喋ってもおかしくない。そう思う様になった自分がおかしいのか、ここがおかしいのか……間違いなく、後者だろう? そうであって欲しい。

 でもその豚は、親切丁寧に機械部門への行き方を教えてくれた。俺は思い直した、この豚は女神の様だと。


「どうしたんですか? 説明、難しかったでしょうか……」


「あ。いいえ、大丈夫ですよ神谷主任」


「そう、ですか。技工師を知らない様でしたので、難しかったかな、と」


 機械部門の主任が説明してくれたのに、全く聞いてなかったわ。脳内豚でいっぱいいっぱいだったから。喋る豚にダメージ与えられた気がする。あいつ、喋る事が攻撃だったのかもしれん。あ、また豚の事考えてしまった。俺が楽しみにしていた機械部門、着いたのは良いが豚の事ばかり考えてしまう。もしかして……俺ってばあの豚に恋を⁉ んな訳ねえわ。


「技工士じゃなく、士は師で、手で行うから技巧ではなく、技工ね。ふむふむ」


「ちゃんと聞いてくれていたんですね! 僕の言葉が耳に入っている気がしなかったから、僕、あぁ、良かった」


「おおう、結構な言われよう……」


 俺の言葉の方が君に入ってない様なんだけど。そこはどうなんだろうか。いや、まぁ、聞いている様で、聞いていなかったんだけどな俺。いやいや、聞いていた。聞きなれない職業だから、耳に残った。

 機械部門主任、神谷かみや ゆえる。男。異世界召喚時についた異能『技工師』を持つ、元勇者。って今話していた様だ。俺が豚を思い出している時に。この人、見た目は俺と変わらないくらいの年に見える。でも、主任なんだからきっと年上だと思う。


「九条くん、僕が召喚された異世界はね、職業が異能だったんだよ。その事に気が付いたのは、僕が木で熊を作ろうとした時でね、あの時の熊は可愛かったなぁ」


「あいあい」


 熊を作ろうとしてからの後直ぐに作った感想の方を言われてもな。その過程を話してくれるのかと思ったのに。何やらうっとりとした表情の神谷主任。思い出しうっとりは、一人の時にしてほしい。そもそも、技工師の話はどうなったんだ。こんなんだから、俺が豚を思い出しちゃうんだよ。俺、悪くない。

 機械部門では、個人個人の部屋があり、個々に作業をしているらしい。大広間っていう共同の作業部屋と個人部屋、そこで作業を行っている様だ。

 神谷主任は個人部屋の方に俺を連れてきた。大広間の方は他部門の人の入室は禁止らしい。

 ま、いいけど。そろそろ思い出しうっとりはやめてくんないかなー。

 神谷主任の作業部屋には、作業台と作業机、工具らしきものが至る所にある。髪の毛位のほっそい工具らしきもんもあるんだけど、この工具もどうやって作ったの?


「謎の工具……」


「あぁ、工具はね、こんな工具が欲しいなって思い浮かべると、手の平に出てくるんだよ――こんな感じで」


「……」


 神谷主任の手の平の上に、小さなバールがのかってる?

 何この人、怖い。


「工具として使える物しか出てこないけど、結構便利だよ? でも、こうやって出した工具は消えないから工具は増えていくばかりなんだ」


「へぇへぇ」


「後、こんな感じでミスリル鉱石とかをこねくり回す事も出来るから、作業はしやすい。技工師は、神職業って言われているからね」


 見た事の無い石の様なものを、指先でグニグニとこねている。粘土の様に柔らかそうに見えるんだけど、この人『ミスリル』って言っていたよな?


「ミスリル……鉱石?」


「うん。異世界の鉱石だよ……あれ、知らない?」


「俺の知っているミスリル?」


 めっちゃ粘土の様にコネコネしてる所を見ちゃうと、それがミスリル鉱石には見えないんだけども!


「うーん? きっとそうなのかな?」


「魔力が伝わりやすい、硬くて丈夫な、ミスリルソードとかのミスリル?」


「そうそう! やっぱり知っているんだね。ミスリルソードは秒で作れるけど、剣とか必要だった?」


「いんや、俺が欲しいのはリストウェイトかなー」


「リストウェイトって、何?」


「リストバンドに重さがあって、着けているだけで筋トレになるやつ」


「へー! 面白そうだね。リストバンドの形なら、繊維状に変換して……オリハルコンの方が重さが出そうだから――」


「オリハルコンもあるんですかい⁉ ……おーい、もしもしー?」


 作業机の上にある鉱石らしきものをコネコネしていたはずの神谷主任は、俺の言葉をスルーして何か作り始めてしまった。

 もう俺の言葉は、貴方には届かないのね……

 仕方がないから作業を見ている事にしたんだけど、何をしているのかさっぱり分からん。

 気持ち悪い位、手の動きが見えない。何かの光なのか、膜なのか、神谷主任の手元はそれに包まれているから、何も見えねえ。


「はっ!」


 こ、これが世にいう『企業秘密』ってやつか! 初めて見た―。少しくらい見せてくれてもいいじゃんかー! 

 神谷主任の周りをウロウロしてみた。どこからも見えなかった。

 ここはあれかなー? ハンカチ噛んで「キー! 憶えてなさい!」っていう所なのかな。ハンカチ無いけど。


「お? おお?」


「出来た出来た!」


 見えなかった神谷主任の手元が見えだした。光の様ななんか蔽っていたもんが消えていく。手の平には黒いリストバンドが二つ乗っていた。


「お? リストウェイト?」


「そうだよ! これはオリハルコンを繊維状にしたのを編んで作ったリストバンドで、繊維状にした時に重さが出る様に作ってあるから、柔らかいけどちゃんと重さを感じると思うんだ。九条くんが無効化出来ない様に、繊維の時に重さを変更できるようにプログラムを組み込んでおいたし、ちゃんと作動すると思うんだけど、取り敢えず――あれ? 九条くん?」


「……」


「だ、大丈夫? 何か、目から光が消えてるんだけど」


「……へー? ナルホド?」


「あ、聞いてくれてた? それでね、この際だから九条くんの無効化が機械には反応しないって聞いていたから――あの、僕が話し出すと、九条くんの目に光が消えて、死んだ魚の様な目になるのはどうしてかな?」


「ナニヲイッテイルノカ、ワカラナイデス」


「どうしてそんな片言なの⁉ 僕の話ってそんなに苦痛なの⁉」


「苦痛か苦痛じゃないかで言えば、苦痛」


「そこはハッキリと言うんだね⁉」


「ちょっと何言ってんのか分かんない」


「僕の方が分からないよ?」


 そう言われても、なんか説明とか耳に入って来ないんだもんな。説明書は読まずにゲームするタイプだから。リストウェイトの説明されても、耳が勝手に閉じて行くんだよ。ミミガーが勝手に。


「ま、まぁ、いいや。九条くんが使える様なリストウェイトになっていると思うから、これを着けてみてく⁉ 反応速いな、僕の話は聞いてくれないのに!」


 なんか話しているから、リストウェイトをむしり取ってみた。

 鉱石とは思えない、普通の柔らかいリストバンドだ。両手に嵌めてみると、確かに少し重い。

 

「ふむふむ?」


「聞いている振りしないで……」


「普通のリストバンドよりは重い。でも、この位じゃ筋トレにはならないなー」


 一キロ位じゃね? こんなんじゃ全く何も感じないのと同じだ。いいもんゲットしたかと思ったのに、残念無念だ。


「もうさ、九条くんが何を考えているのか分かってきたよ。そんな目をされるとは思わなかったけど」


「ウレシイデスヨー」


 俺の言葉を聞いて、深いため息を吐いた神谷主任。

 そんなため息吐かれる様な事してない! はず!


「一応話すけど、嵌めているリストバンドの上を掴んで、三回強く握ってごらん」


「ふむふむ」


 リストバンドをしている所を掴んで三回ぐっぐっぐと握ってみた。


「さっきよりもリストバンドが重くなった?」


「じゃあ成功だね。そうやって重さを変えられるようにしたんだ。変更するには三回連続で衝撃を与える事。そうすれば重くなっていく。軽くする場合は、外せは良いだけだから。外せは重さはリセットされる」


「三回衝撃、重くなる。外すとリセット」


 簡単に言ってくれないと、覚えていられない。たったこれだけの事を、そんな長く言われても苦痛だってば。


「今回はオリハルコンだったから成功したのかなー? 僕って技工師の中でも優秀だからね。今度はまた違う鉱石から作ってみようかな。筋トレが趣味とは聞いていたけど、九条くんは無効化だから……え? 普通の話も苦痛なの⁉ また目が死んだ魚の様になっているんだけど⁉」


「技工師、職業チート。素晴らしい」


「そ、そうだけど……」


「神谷主任、話長い。苦痛」


「そうだけど‼ そんなにハッキリ言わないでよ、僕だって傷付くんだからね?」


「神谷主任、リストウェイトありがとうございます。大切にします」


「ええー⁉ このタイミングで普通に戻るの? びっくりしたよ」


「いやー、神谷主任の反応が面白くてつい、ですよ。予想以上の反応で嬉しかったです、すいませんでした」


「今更敬語で話されても……何だか怖いから、さっきの様に話してくれます?」


「イイヨー、ワカッタヨー」


「そっちじゃないの! もう!」


 そっちってどっち? そう言われても分からない。

 機械部門の主任は良いノリをしてくれる、結構良い人だな。技工師か……まさかのここに来て職業チートと出会うとは思わなかったなぁ。

 勇者は職業チートじゃないからな、勇気ある者の事を勇者と言う。勇者しか魔王は倒せない、とかはない。

 勇者召喚は、勇気ある者を召喚するためのものだ。そうここで学んだ。

 特務課では、誰もがそう言っているらしい。勇者が職業チートだったら、元勇者だらけのここはとんでもないことになる。元勇者達が色々な実験をして行った結果、勇者は職業チートではない。そういう結果になったらしい。

 その点、技工師は職業チートにはいる。神谷主任も、勇者召喚で異世界に召喚された一人だ。召喚された時に、技工師という職業になった。


「神谷主任が召喚された異世界に、俺も召喚されないかな」


「何だい? 突然そんな事言い出して」


「いやー、俺も職業チート欲しい」


「正直だね? 正直すぎて返事に困るよ?」


「うらやま」


「そうでもないけどね、技工師は生命体には反応しないから。物質しか扱えないんだよ?」


「プラモデル作り放題」


「そうだけど。僕が行った異世界『アレイクシルリンクス』には……人、は居なかったからね。勇者召喚で召喚しない限りは、だけどね」


「その話、詳しくオネシャス!」


「え、この話には食いつくんだね⁉ 僕の話が苦痛って言っていたのに!」


「ハヤクハナソウヨー?」


「もう! 分かったよ――」


 異世界『アレイクシルリンクス』とは『人』のいない世界で、機械たちの世界らしい。

 どこか寂しそうに話している神谷主任が話してくてたのは、そんな異世界だった。

 子供は産むのではなく、創りだすと言うらしい。ちゃんと男女という性別もある。聞けば聞くほど、不思議な話だった。


 アンドロイド――AIという頭脳を持ち、人の様な皮膚をした人形。人の様な姿をしているが中身は機械ってやつ。アンドロイド、つまり機械人形たちは人の様な感情に近いもんをもっているらしい。人よりは劣るが、人に近い、人にはなれない人形たち。人になりたくて勇者召喚を行っていた。それにより、アンドロイドは人には近くなっていった。でも、やはり人にはなれなかった様だ。

 

 ――人の様な命は創れなかった。

 神谷主任は、それを「諦め」といったが。俺は「どうして人になりたいのか?」という疑問が浮かび、それを聞いた。

 だって機械の方が長く生きれるだろうし、人の様に小賢しい生き物は他にはいないだろうし、感情に左右されて良いことないと思う。


 神谷主任はこういった「それは九条くんが人だからだよ」と。それでピンときてしまった俺は勘が鋭い方だと思う。俺、凄い。結論から言うと俺の勘は合っていた。

 アンドロイドたちは、人の様な感情が欲しかったらしい。人の様に複雑で難解な感情。他の生物にはない心の感情、だから人になりたいと思ってしまう様だ。

 神職業と言われる技工師でも、人と同じ命は作れない。神谷主任が言っていた、物質にしか適用されないからだ。

 

「人になりたい機械ね、ふむふむ。機械の方が良いと思うけどな。視力は落ちない、なかなか死なない、お風呂入らなくて良さそうだし。剥げないだろうし……ん? 良い事の方が多くね?」


「人だからそう思えるんだと思うよ。あの子達は、「成長」と言って体のパーツを自分たちで変えるんだよ? そんなことを繰り返すくらいなら、いっそ死んだ方が良い。完成のない機械人形、それがあの子達なんだ」


「痛みはないんでしょ?」


「ははは、あるよ? 人に近い様に作ってあるんだから」


「Oh……」


「人に近い、でも人じゃない。どうしようもない諦めしかなかったよ。神職業って言われても、神じゃないからね」


「なるほど。ちょっと悲しい」


「そう……だね」


 人になりたい機械人形か、やっぱり異世界だな。異世界は俺の知らない世界ばかりだ。ここも同じようなもんだけど、ここは日本で、地球だもんな。

 勇者召喚で人を召喚して、人になりたいから人の様に作ってくれ。って、凄い行動力だな。

 その後も、神谷主任と色々な話をした。波長が合うのか、いつの間にか神谷主任は俺の事を「重くん」と呼ぶようになった。俺も「ゆえるくん」と呼んだけど。

 年齢不詳だと思っていたけど、聞いたら教えてくれた。四十三歳と。全く見えないから冗談だと思ってからかっていたんだけど、特務課の主任だけが持っているカードを見せて来た。そこには四十三歳って書いてあったよー。しかも、結婚してるらしい。この見た目で結婚しているとか、どこの詐欺師だよ。

 仲良くなったついでに色々作ってもらったりもした。

 無効化のせいで使えなかったもんもあったけど、何個か貰ったタダで。仲良くなればくれるかなー? と思っていたけど。ゆえるくん、チョロ過ぎた。悪い人には気を付けてね? 俺は良い人だけど。


「今はね~、こっちでも機械人形を作っているんだ。って言っても、スパイ用なんだけどね! 機能も高性能だから、日本産の技術の高さをこれでもかって位、アピール出来るよ」


「あいあい――あい?」


 ポケットに入れていた携帯が鳴った。

 ゆえるくんの話長いから助かったと思ったけど、メッセージを見てげんなりした。


「呼び出しかかったから戻るよ、ゆえるくん」


「え~……せっかく説明しようと思ったのに。重くん、機械部門に来ない?」


「イイヨー。遊びにまた来るよー」


「そうじゃなくて、移動だよ! 部門移動!」


「瞬間移動?」


「部門移動!」


「結構ですー。間に合ってますー」


「新聞屋さんを断る様に言わないで欲しいな⁉」


「何言ってるか分かんない」


「僕の言葉だよそれ!」


「じゃあまたねー」


「えええええー⁉ 軽いなぁ……」


 ひらひらと手を振ってゆえるくんの部屋から出た。

 貰うもの貰ったし、ここに未練はない。ゆえるくんが面白いから、また遊びにくるけど。

 今度は何を作ってもらおうかな。召喚部門に戻るのヤダなー……だってあのメッセージだもんな。

 いやいやながらも仕方なく、俺は階段を駆け上がった。


『召喚部門に来い。メンバー全員集合だ』



 とうとう出張組が帰還したか。会っていないメンバーあと二人。特務課に入って半年くらい? やっとメンバー全員が集まるのか。良い人だといいんだけど、特務課だから期待できないと思った。

 因みに、帰りにあの豚女神に会いに行ったけど居なかった。豚女神って悪口じゃないよ、豚の姿だけど親切で素敵な豚だ。まるで女神の様だ! だから豚女神。また会えると良いな。ゆえるくんの所に行くときは、豚女神にも会いに行こう。


「楽しみは、多い方が良い、そう、お爺ちゃんも、言っていた」


 祖父はいないけどな。いたらきっとそう言っていた筈だ。

 階段を猛ダッシュで駆け上った俺の足は、召喚部門の扉の前まで来た。

 俺、華麗なる帰還。今は息切れが酷いけど。

 

 ――コンコン


 二回ノックしたら、聞きなれた声が帰って来た。

 大きく深呼吸をした俺は、召喚部門と書いてある扉を勢いよく開けた。



二月は更新が全くできませんでした。

作業やら、体調不良やらで色々でした。まぁ、まったりと更新しますね。

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