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魔法学校に転送された破天荒少女は誰の祝福を受けるか~√8~  作者: 石船海渡
第1章 君に出会って
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第三十九話 いじめっこ大成敗

「アデラ!? ……あんた……?」


 ティナはアデラに何が起きたか分からずに驚いていたが、更に驚いたのは立ち上がったのが先程まで寝転がっていた甲斐だった事だ。

 少し離れた所から見守っていたエミリアは、声こそ出なかったものの全てを見ていた。

 甲斐は床に伏したまま、アデラの右の足首を掴んでそのまま後ろへ思い切り引き、その勢いのままアデラは頭から前へ倒れたのだ。

 そして急に離され、上手く着地できなかったフルラは尻を強打して悶えていた。


「えええっ……! か、カイちゃああん!」


 その姿を見て、思わず涙が溢れそうになる。

 ゆらりと立ち上がった甲斐は長い髪の毛が顔に纏わりついてるが気にすることも無く、目の前のティナを睨みつける。

 目は寝不足のせいか血走っており、猫背気味のまま立つ様はホラー地味ている。


「おいこら、何すんだよ!」


 鼻から血を流しながら身を起こしつつ毒づいたが、甲斐は後ろを確認しないまま足蹴りをするとアデラの顎に当たり、小気味良い音がしたのを聞いてから意識を手放した。

 ふとフルラと目が合うと甲斐は少しだけ笑った。


「フルラ、花丸だわ。期待以上」

「編入生とトマトに何ができ……ティナ!?」


 デジャブ、だろうか。

 つい最近見たような光景が今まさに起きていた。

 甲斐が強く地面を蹴ってティナの胴体目掛けて突進し、耐え切れずに押し倒された。

 その上に甲斐が馬乗りになり、間髪入れずにティナの頭頂部付近の髪の毛をわし掴んで頭を床から離して持ち上げると、反動をつけてから叩きつけた。


「かかかカイちゃん! 死んじゃう死んじゃうよ!?」

「ああ……もうここまで来ると それもありかなって思えてきた。おかっぱテメエ、ロン毛の脳ミソ見たくなきゃ変な真似すんなよ」

「かかかかち割る気なのカイちゃん! おおお落ち着いてようぅ! 突然の出来事にまだ誰も頭が付いて来てないようぅ」

「痛い……痛い……エミリアぁあ! 何やってんの!? 早く助けてよ!」

「ちょっと待ってよ! そんな野生動物みたいなのどうしろってのよ!? 魔法かけてもティナ、あんたにも当たっちゃうでしょ!」

「わ、私もいますよぅ……! そ、そしてティナさんに当たらない魔法でカイちゃんの動きを止められるような魔法を考えているならば、私もある程度検討がつきますのでその……相殺させて頂きますう!」


 フルラの手には放電と共に床に刺さっていた大鎌が戻って来た。

 エミリアは目を泳がせているが、規格外の甲斐の動向から目が離せないようで苛々と爪を噛んでいる。


「んで、あんたらはどうしたかったの? 寝てるあたしに何しちゃう感じだった? やだあ、もうう」

「別にっ!? そもそもなんであんたは毎回私にだけ襲い掛かってくるわけ!?」


 足をバタバタと動かしてティナは甲斐に喚いている。


「別にぃ~?たまたまなんでかあんたがベストポジションにいるだけ。最初から起きてたけど、 黙ってりゃいい気になりやがって。おっとっと心の声が。うちのフルラたんに酷い扱いしてくれたよね。どう考えても、謝るのはあんた達でしょ。 場所が違えば死刑だよ死刑」




「分かった、分かりました。うちらの負けです。だからティナを離して」




 両手の平を背後に向ける形で上に真っ直ぐ上げると、悔しそうにエミリアは吐き捨てた。

 しかし甲斐はティナから下りようとはしない。


「それで? まだ謝罪の言葉を聞いてないけど。別に良いんだよ、このイカレポンチの髪の毛が根本から何本抜けようと知ったこっちゃないし。むしろ涼しげでいいんじゃないかと思う」


 ティナの両腕は甲斐の太ももにぎっちりと挟み込まれており、足だけがバタバタと抵抗して上下する。

 甲斐の口調は今にもこんな感じでどうかしらと実行に移しかねない軽さで、エミリアは腹を括るしかなかった。

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