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魔法学校に転送された破天荒少女は誰の祝福を受けるか~√8~  作者: 石船海渡
第6章 全ての始まり
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第百八十一話 最後の指輪の映像・LAST

 指輪の新しい文は『これが私から与える「最後」』とある。

 きっとこの『最後』の部分をアルファベットに直すのが答えなのだろう。

 

 いきなり簡単な答えに何か裏があるのではないかと思ってしまうが、まだ正しいかは分からない。

 だが、どうにも今夜は向かい合う気が起きずにそのまま寝てしまった。


 最後に何が入っているのか気になりはしたが、もしもその映像を見てもすべき事がはっきりと分からなかったらと思うと怖かった。

 一応考えた結果として『W.S.M.C』を志望してはみたが、それがもしも間違いだとしても正しい道が分かるのであればそれに合わせて進む覚悟はある。

 しかし何も分からなかった場合、答えを手探りの状態で進む形になるのだ。


「……頼むよ、製作者……。なぞなぞ解いて来たんだから、最後の最後に答えを教えてよね……」


 甲斐が次に目を開いたのは、昼過ぎだった。

 休日でもないのに完全に寝過ごしてしまった。

 二食を食べ損ねた胃の調子は最悪で、空腹を通り越して胃痛に変わっている。


「……あ~……やった……。寝すぎた……寝すぎで具合わる……」


 ゆっくりと着替えを済ませるが、とっくに昼食の時間は過ぎてしまっている。

 他の寮には入れないのでエルガに呼び鈴を貸してもらう事も出来ない上、クリスやフルラに会いに行く事も出来ない。

 とりあえずシェアトを大声で呼び出して呼び鈴を借りようと部屋のドアを開けようとしたが、開かない。

 ドアノブの上にはタイマーの様な時刻が浮かび、秒数が徐々にカウントダウンされていた。


「な、なにこれ……。あ、何。飯の時間までは部屋から出さんというスパルタママ的な奴? ……うーわ、時間的に大体そうだ。こんなシステムに気付かなかった……。……学校に……学校に殺される…」


 自習期間のはずだが一瞬たりとも目的を果たしていない甲斐は、ようやく観念したかのように机に向かう。

 しかし、授業道具を並べる訳でもなく見ているのは指輪だった。


 空腹が気持ち悪さに変わりつつあるが、夕飯の時刻まではまだ三時間程あるのだ。

 少しでも気が紛れるかと最後の映像を見る事に決意を固めたようだ。



「……L……A……S……あ、行き過ぎた……S。……T……。ラスト……」




 お決まりの光が放たれている中、冷静に部屋の電気を全て消して回った。

 ノートを用意したが映像が映し出される指輪は利き手である右にあるので、ペンが持てない事に気付いて閉じた。


 そして壁に大きく映像が映し出される。

 自分とまるっきり同じ顔がこちらを見ていた。

 彼女は散らかった部屋の床に直接座っているようだ。

 以前に見た映像と同じような白衣を着て、片耳にはマイク付きのヘッドホンを付けている。


 この世界の甲斐が、何とも言えぬ表情で音声のチェックをしているのか口を開けては腕に巻き付けているボタンを何度か押している。

 ようやく、音声が入り込んだ。



『―――あーテステス。おっ、大丈夫だ。時間が無いのと契約上の制限が多くて、タブーを口にしたり誰かに伝えようとするとあたしの臓器が速攻爆発起こすんだ。だからこれから伝えることは訳分からんだろうけど聞いて。シャラップ、だよ』

「や、やめろ馬鹿野郎! お前一人の体じゃないんだぞ!」



 思わず壁の映像に向かって突っ込んでしまったが、危険なリスクを負っている彼女は話し出した。

 この先、映像がスプラッタショーにならない事だけを祈りながら床に座る彼女の声に耳を傾ける。

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