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魔法学校に転送された破天荒少女は誰の祝福を受けるか~√8~  作者: 石船海渡
第6章 全ての始まり
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第百五十九話 MAGE・未来のあなた・困惑のあたし

 夕食が済むと、星組は課題が多いらしくクリスは部屋に戻ってしまった。

 ルーカスは徹夜明けという事もあり、早めに寝るらしい。


 残されたのは四人だったが、昼の内に辞書を借りて来た甲斐は早く指輪に触りたくてうずうずしていた。

 しかしフルラは久しぶりに甲斐とゆっくり話せそうなのが嬉しいのか、先程からずっと話しかけてきている。


「さて、僕は一講の範囲を少し自習しておこうかな。さあさ、可愛いお嬢さん。お話の時間はもう終わりだ。カイもルーカスと同じで徹夜明けのようだしね」

「あっ、そっか……。ごめんねカイちゃん! また明日も、お話ししようねぇ!」


 思い切り抱きしめられながら、昨夜は結局眠れていないのを思い出した。

 今日こそはちゃんと眠らなくては。

 それに早めにこの指輪は何とかしたい。

 そうなってくると、全く授業に身が入らない。


「お前も近いうちに授業内容追っ掛けとけよ。いいか、びっくりするほど簡単に置いて行かれるからな!」

「経験者の説得力は違いますなぁ。んじゃ、また明日ね」


 喚いているシェアトをスルーして、ロビーを出た。

 ビスタニアは夕食にもいなかったが、ウィンダムに聞いたところ、大分熱も引いたらしいので明日の朝には執念で現れるだろう。


 部屋に入るなり、鞄の中から辞書を引っ張り出し、指輪に揃える単語を選んでいく。


「……お?騎士……字数オーバー……。あ、でもそっち系で探せば結構いい線いくかも……。魔女……?でもこれも五文字……」


 今日の授業中に、そういえば何か単語があった気がする。

 捨てられた鞄を引き寄せて教科書を適当に開くと、大きな光を扱っている古い服装をした人物が、荒い画像の中で誇らしげにこちらを見ている。

 画像が荒い上に動くので、男女の判別が難しいが体のラインからすると恐らく女性だろう。

 文の中に画像の説明が書いてある。


 『偉大なる古代の魔法使い』と記載されているが日本語に訳されてしまっているので、辞書で引いてみる。


「……『MAGICIAN』…オーバー…。『MAGI』……これ……?」


 はやる気持ちの中、上からアルファベットを合わせていく。

 最後の『I』をライン内に合わせた時、指輪が強く光り出した。


「ばっ、爆発する……!? あああせめて誰かに見届けてもらわないとまた勝手になんかやらかしたと思われる……! 廊下の前科があたしの名誉の死の邪魔をするっ……! ……あれ……?」


 点滅しているだけで、特に変化は無いままだった。

 恐る恐る持ってみたが、熱さも感じない。

 強く光っているのは『MAGI』と刻まれている文字の部分だけだ。


「……ここからどうしたらいいの……。もうこれ以上は分かんないや……これお祭りの屋台とかでよくある只の光るリングだったらどうしよう……」


 右手の人差し指に引っかけて回していたが、また問題が出来たことに落胆して回転を止めた時だった。




 指輪はそのまま甲斐の人差し指の根元まで落ち、全英数字から光が漏れると指にぴったりのサイズとなってはまってしまった。




「……まさかの事態……。と、取れないっ……! あれ、これ濡らせば取れるんだっけ!? それともこうなったらもう指切り落とさないとダメなんだっけ!? 確実だけど勇気が出ないよおおお!」


 風呂場へ向かいながら手を振り続けていた。

 その時、指が偶然向いた先に、確かに誰かがいた気がした。

 反射的にそちらを見ると、壁際にシェアトがいる。


 思わず体が固まった。

 いや、まだ甲斐の頭は彼だと断定はできていない。


 何故ならこれは映像で、彼の頭から上半身の辺りで切れており、さほど鮮明ではないのだ。

 そして壁に映っているシェアトは今の甲斐よりも年齢が上に見える。

 よく見れば、映し出しているのは指輪のようで、指を向ける場所を変えると大人のシェアトらしき人物は移動した。


 煙が左右から立ち上る中、見慣れない制服を着た彼の胸元には多数の勲章が付けられている。

 厳しい顔をしているが、インタビューを受けているようで何かを答えているようだ。

 映像の右上には小さくLIVEの文字が躍っている。


「……シェアト……? また父親だったりするのかなこれ。それにしても似すぎだよ、ドッペルか……?」


 画面内の下に遅れて表示された名前を見て甲斐の眉間に皺が入る。

 やはりその名は『シェアト・セラフィム』であり、その横には『大佐』とある。


 どういうことか分からず、音声の流れない映像を黙って見続けるしか出来なかった。

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