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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
6/21

閑話1  4月23日 15:30 美笠高等学校 体育館

 とにかく完結はさせます。

 先に言っておきますが戦闘に入ると更新が滞るかもしれません。

 できるだけ更新が開かないように頑張ります。

「ぐへっ!!」


 放課後。聯がいるはずの体育館に入ると待っていたかのようなタイミングで男子生徒が迫ってきた。いや、飛んできた。


「……はあ。」


 身をかがんでそれを避けた私は(飛んできた男子生徒は体育館の外へ飛んで行った。校庭のフェンスに激突するのが見えたが……網の部分にぶつかったし……まあ死なないだろう。多分。)体育館で佇んでいた聯に話しかける。  


「聯、大丈夫?」

「大丈夫。大したことはない」

「そ、そう……。」


 聯は事も無げに言っているが体育館の内部は複数人の男性が気絶している。

 つまり聯は9人、いや10人(1人はさっき体育館の外へ飛んで行った)の人間と闘っていたわけだ。

 それを淡々と話している聯は正直末恐ろしく感じてしまう。


「それより聯?この倒れている人はやっぱり挑戦者?」

「うん。そう。」


 無論分かっていたが、確認というやつだ……確認するのも無駄だということも分かっていたが。


「でも1人って聞いてきたはずなのになんで7~8人はいるのかしら?」

「さあ?でもこの人達は私を見て襲ってきたから一緒になって私を倒すつもりだったんだと思う。」

「やっぱりか。今やもう驚かないわ。」

 

 噂が広まった当初は1対1のしっかりした決闘が多かった。まあその時は聯の実力というものがあまり認知されておらず、早い者勝ちムードで決闘するものがほとんどという状況だったのでまだ安心してみていられた。

 しかし聯の実力を知った最近はなりふり構わず多対1など当たり前。なかには武器装備や、挙句の果てに下剤の入った食べ物を食べさせようとするなど手段が悪質になっている(ちなみに下剤を仕込んだ奴は粛清済み)。


 そして極めつけは数日前。この間の柔道部の主将と決闘をして瞬殺することで挑戦する馬鹿が激減すると思っていたのだが……いや、甘すぎた。男という生物は考えていたより馬鹿が多いらしい。

 力で勝てないなら他の物で補強する……戦術自体は決して間違ってはいないのだが……。


「男らしくないわねこいつら。」


 裏工作がが陰湿かつ狡猾になって来ているのは大問題だろう。


「……あら?」


 ふと見ると倒れた男のポケットから何か円筒形がはみ出している。

 どうせ警棒か何かだろうと思い取り出すそれは予想の斜め上を言った。


「うわ、なにこれ痴漢撃退用のスプレーじゃない!」

 

 しかもそれは近年発禁になった強力な一品。噴射されると視力に重大な後遺症が残るということで持っているだけで法に触れてしまうようなものである。

 そこまでして勝ちたいのか……まあ、そこまでして勝ちたいんでしょうね……。


「この間はスタンガンがあったからそれよりまし。」

「……そ、そうね……。」


 ここで言うスタンガンとは大多数がイメージするようなハンディタイプではなく引き金を引いてワイヤーのついた針を射出するテイザーガンの事だ。

 一応非殺傷の武器ではあるが、引き金を引いて針を射出するので、現行の銃刀法では『実銃』に分類されるあたり、もはや護身具などでなく凶器として十分成立するものだ。

 そんなものを女の子に向けようと考えるあたり、こいつらの神経を疑うところだ。


 明らかに校則違反(むしろ法律違反)の代物が堂々と持ち込まれていることに私は思わず閉口してしまった。


「この学校の校則はどうなっているのかしらね……。」

「そう?ここが『ディスターバンスハイスクール』って呼ばれている地点でそんなものはないって思ってけど?」

「……。」


 確かにここ、美笠高校は昔から『波乱の高校(ディスターバンス・ハイスクール)』と呼ばれるほどに奇人変人が集まりやすい。

 なので 発想が過激な奇人変人が集まっているのかのしれない。


「……こいつら……だから予想以上に過激な連中が集まっているってわけ……?」


 あまりのエスカレートぶりに、しまいに『本物の』銃が持ち込まれるんじゃないだろうか?とついつい恐ろしい想像をしてしまう。普通なら何を馬鹿なと笑い飛ばされるところだがついさっき持っているだけで捕まりそうなシロモノを見つけただけにありえないとも言い切れない。

 だから私は前々から思っていたことを聯に持ちかけた。


「ねえ聯……もうやめないこんなこと。」

「……。」


 私の提案に聯は何も返さない。なので私はこのまま話を続けた。


「聯は強い。荒事なら何が来ても十分に対処できる。でも現実を生きていくのにそれだけじゃ生きていけない。変に頭使うやつがいたり、こいつらみたいになりふり構わない奴だっている。これ以上変なのが寄ってきたら……聯は。」

「止めてゆなちゃん。」


 私が続けようとするのをはっきりと止めた。

 その声は決して自棄になどなっていない自信に満ち溢れた声だった。


「私は大丈夫。絶対に大丈夫。だから安心して。ね?」


 分かっている。聯は一度決めれば絶対に曲げない。

 そして私は、その力強い声に安心させられてしまうのだ。


「……分かった。」


 なので私は彼女の願いに答えてしまった。

 だがこのままにしておくつもりはない。生徒会に釘を刺した方がいいだろう。……あの異常者集団ならどうにかしてくれる……かもしれない。


「で?明日の挑戦者は?いったい誰?」

「1-6の直原様とハリヤマ様です。」

「今度2人?やけに数が少ないわね?また何か汚い手を使うのかしら?」

「ゆなちゃん。それはいくらなんでもひどいと思う。」


 確かに男=卑怯者のイメージを持っているようだと少し反省する。


「分からない……けど……。」

「けど……?」

「明日の戦い……何だか嫌な予感がする。」

「え?」


 もしかしたら今回も多数の人間による襲撃があるのかもしれない。

 そう思った私は明日の戦いを十分に警戒していこうと思った。


 しかし、柔道部主将の時でさえも感じなかった嫌な予感を聯が今回感じ取った。

 その不安がなくなることは決してなかった。




特別企画

聯の決闘内訳

(=入学してから4/24まで聯に告白した人。)


告白してきた生徒

同級生138/160人、上級生204人/320人、他校の高校生96人、中学生49人、大学生38人や教員4人、社会人2人、女子 1人(聯に合わせる前に断った)。

合計531名(女子除く)


高校生438人の部活内訳

 運動部(武道系25% その他18%)

 文化部32%

 帰宅部20%

 同好会等5%


戦績

 531戦中531勝0敗



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