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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
4/21

第3話  4月23日 12:45 美笠高等学校北校舎3F 1-1教室②

「だから……なんでそのお強いレンレン様と戦わなければならないんだ?」


 いつの間にか決闘をすることになっている鼎君は目の前の2人を射殺さんとばかりに思いっきり目を鋭くして聞いてくる。

 その迫力はさっきまで見ていたクラスメイトが一斉に目を逸らせたほどだ。

 実際僕も直視できなかった。


「おいおい!ここまで言うやらきまっとるやろ!」

「レンレン様に決闘で勝ったら付き合えるんだよー!」

「だから!俺らの代わりに決闘して!」

「レンレン様を俺の嫁にして欲しいんだー!」


 しかしこの2人にとってはそんなものはどこ吹く風。 

 周囲の事を考慮せず、自分の欲求を押し通すというスタンスは変わらない。


「……それはさっき聞いた。」


 これ以上は意味はないと感じたらしい鼎君は頭を抱えながら殺気を放つのをやめた。

 その瞬間僕を含めたクラス中の皆はやめてくれてよかったと思った。

 クラス内のその空気を知ってか知らずか鼎君はさらに話を続ける。


「そういう意味ではなく。何で俺が決闘をしなければならないと……。」

「だってー。適材適所って言うしー。」

「だから強い鼎ちゃんに戦ってくれって言うとんのや」


 情けない。と思っても仕方のないことだろう。やっていることは他力本願なのだから。

 まあそんな巨漢の柔道部主将ですら勝てないのに目の前にいる2人がダブルで挑んでも勝てるはずもないだろう。

 その2人にも勝てなさそうな僕がいうのもなんだけど。


「で、でもね。向こうが油断していたとかそういうのはないの?ほら。油断とかなくても漣さん(すきなひと)だから攻撃できなかったとかさ……。」

「それもそうだな。そうではないのか?」


 大体付き合うためとはいえ告白した女の子をぶん殴るという訳のわかんないことを嬉々としてやりたがる人間などSっ気のある人間はそういない。

 なので全力を出せない相手に対して自分は全力を出しているため勝つことができる。

 ……と考えたわけだが。


「無理だよー。だってあの主将ホント一瞬だったし。聯ちゃんは一瞬で10m距離を詰めたんだよー。」

「一瞬で?」

「ああ、結構あった1秒もかからんかったんとちゃうか?」


 10mの距離を一瞬で詰める。言葉にするのは簡単だが、実行に移すとなると相当に難しい。

 まず当たり前のことですが、1秒で10秒進むためには秒速10mの脚力が必要となります。

 が、それは100m走の女子日本記録が11秒付近であることを考えれば十分に難しいことが分かるでしょう。

 しかも停止状態から一気に秒速10m加速したことになると高い瞬発力も必要となります。

 なのでそういった事ができる漣さんには素直に尊敬の念を送ってしまう。


「……ところでまるで見ていたかのような言い方だな?」

「ギクッ!」

「おいハリヤマ!」


 直原君は慌てて播磨屋君の口をふさぐがもう遅い。


「さて……事情を説明してもらおうか?」

「はい……。」


 ……聞けばこの2人情報収集という名目でストーカー行為を働いたとのこと。

 話によると朝の学校の最寄り駅である美笠駅に降りた時から、夕方に駅に入った時とほぼ授業時間を除いたほぼ1日中行っていたらしい。

 そのおかげで決闘の相手・かかった時間、戦法に普段の生活、学食のメニュー、トイレの時間、靴のサイズなどの情報が集まったとか……後半部分いらない……特に最後は変態だよ。

 

「いくら何でもやりすぎだよ変態。」

「ストーカー行為か……呆れたな変態。」

「ちょっ、ばれないように細心の注意を払ったしー、物も盗んでいないしギリギリセーフじゃないー?」

「断然アウトだ。変態。」


 とはいえ戦闘の情報があったなら鼎君は漣さんに大きなアドバンテージを手に入れたわけだから、勝てる確率は十分に上がる。

 そうしたらこの2人はどうなるのだろうか?三角関係になっても大丈夫なんだろうか?


「おい。戦ってやるつもりは毛頭ないが……、仮に付き合うことになった場合お前らはどうなるんだ?どっちが恋人として付き合うんだ?」


 僕と同じ疑問にたどり着いたのか鼎君は2人に聞く。

 2人はそれを聞いて一瞬嫌な顔をしたのだがすぐに持ち直しながら続ける。


「構わへん。ホンマはものすごっっく嫌やけど仕方ない。代理決闘を思いついたのはコイツやからな。」

「ああ。反吐が出るけどねー。鼎ちゃんの事を思い出して懐柔する方法を考え付いたのはコイツだしなー。」

「というわけだからー。頼むぜ鼎ー。」

「せや、だから頼むで鼎ちゃん。」

「だから!俺はやるとは一言も……!」


 勝手に話を進める2人に鼎君は当然文句を言いますが当然2人はスルー。 


「そんなこと言わないでさー。頼むよー。」

「頼むわ鼎ちゃん。こっちの人生がかかっとるんや!」

「生死がかかっているわけじゃないだろう!知らん。」

「2人共……無理強いは良くないよ……。」


 とはいえ彼らが鼎君に出てもらいたい気持ちはわかる。

 確かに鼎君なら彼女を倒すことだってできるかも……。


「あれ……?」


 と、思ったところであることに気付いた。

 それは。


「……ちょっと待って。その話の流れで言ったら決闘で勝った場合付き合えるのは鼎君ってことのなるんだけど……。」

「「……あ。」」


 そうポツリとつぶやくと盛り上がっていた2人は完全に沈黙した。


「「………。」」

「え、えっと……。2人共……?」

「「……Oh……sit……。」」

「……気が付かなかったの……?」

「何で英語なんだ……?」


 漣さんに勝てる相手の事ばかり考えて根本的な部分を見落とすとは……。馬鹿だね本当に。




登場人物紹介 2.


樟頼敬 Kusu Yoritaka

 誕生日:4/27 血液型:A型 クラス:3-5

 身長:201cm 体重:106kg 

 得意科目:体育 苦手科目:数学

 好きな食べ物:パフェ 嫌いな食べ物:白滝


 美笠高校柔道部主将。

 パフェが大好物なんですが男がパフェを頼むのが恥ずかしいので食べません。

 あとプロローグでは瞬殺されていましたが、実際はオリンピックで優勝してもおかしくありません。

ただ運が悪かっただけなんです。


*何で2人目がこいつなんだとお思いの読者の皆様。

これから登場させる予定が無いからです!

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