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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
3/21

第2話  4月23日 12:40 美笠高等学校北校舎3F 1-1教室①

「「はあ?」」


 僕と鼎君は同時に言った。

 決闘に勝って付き合えるって……どういう展開だそれは!


「それで?その超級の美少女と決闘がどうしたんだ?」

「さ、さあ?でも……その、鼎君に頼るっていう事はその……そういう決闘なんだよね?」


 『そういう』というのは無論、拳を拳を突き合わせた戦闘を指す。


「そうだよー。師匠の力が必要なんだよー。」


 播磨屋君の言うように鼎君は戦闘力が高い。

 先程この2人が不良に絡まれていた話をしただろうが、その際その鼎君と僕は巻き込まれて、乱闘騒ぎを行うはめになってしまった。

 その際鼎君は不良を全員(その際応援を呼ばれたりして総数が30人にまで膨れ上がった)を無傷でものの2分で蹴散らしてしまった。

ちなみに僕は1人も倒せずただただ逃げ回っていた。情けないなんて思う人がいるかもしれませんけど、それが普通なんだ!


「お前等……俺は襲い掛かった人間を排除するが、別に戦闘狂というわけじゃない。」

「何より……漣さんは強いの?鼎君を引っ張り出さなきゃいけないほどの?」

 

 いくら相手が武術か何かに自信があったとしても女の子1人を相手にやりすぎじゃないかと思ってしまう。


「舐めたあかんで!レンレン様は相当お強いという噂や。」

「ほう?では聞くが直原。そこまで言うからには何か根拠でもあるのか?」


 そんな自信があふれている直原君に鼎君が尋ねた。


「じゃあ聞くけど、彼女に告白した男がどれくらいいるか知ってるか?」

「さ、さあ……。50人くらいだと思ってたけど……まあその数も十分多いんだけどさ……。」


 正直なところたくさんされているだようなのでとっさにたてた予想に少し水増しした数を答えた。

 そんな僕の質問に対しチッチッチと指を振って。


「甘いで、調べた感じでは入学式の翌日までに同じクラスの男子の9割が告白して1週間で学年男子の4割。2週間で学校男子の3割は告白されとるらしいで。」

「そ、それはまたすごい数だね……。」


 美笠高校の生徒数は大体1000人弱。男女がほぼ同数だったはずなので男子の数は500人。

 なのでその3割ということは大体150人。自分の予想(少し水増し)よりも3倍の計算だ。


「あまいなー昨日は他校の生徒も告白されているだってねー。だから200人くらいは言ってるよー?」

「へえ。もう想像できないな……。」


 その分だと校外でもかなり告白されているかのしれない。

 下手すれば大学生の人も告白をするかもしれない。

 ……ということは。


「え?それじゃあ漣さんはそれだけの数を決闘したってこと?」

「ああ。そうやな。そして今もフリーということはそういうことや。」

「へー……。本当?」


 僕はあまり信じられなかった。

 『人は見かけに寄らぬ者』とはいっても限度というものがあるだろう。

 しかし、彼女に告白する男子が減らないということはそういうこと。

 彼女の意外な一面に素直に驚いた。


「それにしても、彼女をボコって自分の物にしようってことか?随分とあくどいなそれは。」

「……間違ったことは言ってないけどさー。言い方ってものを考えてくれないかなー?」

「俺ら悪者やんそれ。」

「いや、悪者だろうそれは……。」

「そんなことないよー。ねーアキやん。」


 と同意を求められたが残念ながら鼎君と同意見なので何も言い返すことができなかった。

 その様子を見て肩を竦ませてため息をつく直原君。


「鼎ちゃん。俺等のこと悪く言うとるけど……このクラスにも決闘した奴絶対おるから!なあ!」


 そう言って直原君が周囲を見渡すと何人か(10人以上)のクラスメイトがその視線にたえきれずそっと目を逸らした。うん。目を逸らした人達は告白して決闘したってことなんだろうね。

 ……あれ?目を逸らした生徒の中に女の子が混じっていたような……気のせいかな?


「しかしだな……運動神経がいい奴は多いかもしれないが高校生を倒したぐらいでは分からないんじゃないのか?」


 確かに彼の言い分にも一部ある。武術家ならともかくただの高校生が殴り合いができるはずがない。


「じゃあ知らんと思うけど、お前ここの柔道部の主将の事知っとる?」

「知らん。」

「……やっぱりな……。」


 そうだよね。あの漣さんですら知らないのなら、僕でも知らない柔道部主将を知っているはずがない。

 やれやれといった顔をして懐からがまぐちを取り出し、そこから1枚の写真を取り出した。


「何で写真をがまぐちに……。」

「俺にとっては写真=金やからな。情報は厳重に保管しとるんや。それより写真を見てみ。」


 そこにはかなりガタイのいい男が写真に写っていた。

 見た感じではかなりの大柄で筋骨隆々という四字熟語を体現しているかのような人物だった。

 また、顔の部分を見ると耳が潰れている。あれは柔道をやっている人がよくそうなるということを聞いたことがあるので柔道のような格闘技をやっているんだろうと思った。


「とりあえずこいつのプロフィールを言うたる。くす頼敬よりたか。柔道4段にして柔道部主将。身長201cm、体重106㎏『美笠のタンク』として他校から恐れられとるんや。インターハイ優勝の経験もあるらしいな。」

「柔道4段……それはすごいな。オリンピックにも出れるんじゃないのか?」

「それにしても『美笠のタンク』って……微妙なネーミングだね……。」

「貯水タンクのようにごついガタイをしているからだろうねー。」


 ……多分タンクは戦車(タンク)の事を表しているんじゃないだろうか?と思ったが合っているか分からないし、話の腰を折るのは申し訳ないので黙っておく。


「で、その主将がその噂を聞いて意気揚々と決闘したんや。」

「大人げないなー。それー。」


 確かに。スポーツマンシップのかけらも思わせない行動だね。

 そんな人相手に決闘すれば漣さんはひとたまりもないんじゃ……?

 なんてことを考えていたが、


「しかし結果は惨敗………か。」


 鼎君の一言で吹っ飛んでしまった。


「え?本当ですか?それ。」


 思わずそう聞いてしまった。

 そんな僕の反応を見て何を言ってるんだと言いたげな顔をして口を開いた。


「さあな?しかし現在彼女が誰とも付き合っていないことを考えるれば、話の流れだとその巨漢は負けてなければおかしいな。どうなんだ直原?」

「その通りや。しかもそれだけやない、勝負は一瞬やったらしいで。言い訳を許さへんくらいにな。」

「「「「「「「「「「ええっ!」」」」」」」」」」


 僕は唖然とした。いや、周囲のクラスメイトの何人かも驚いている。

 身長2m、体重100㎏を超える巨漢が身長160cm位の小柄な女の子に倒されるなど全く想像がつかなかったのも仕方ないのではないだろうか?


「まあそこは会ってみれば早いだろうな。ハリヤマ。その主将は何組だ?」

「播磨屋だ!俺は3年ってことしか知らないしー。情報通の直原ー?」

「3-5や。せやけど、行っても無駄やで。」

「「え?なんで?」」

「その主将決闘で負けてから学校を休んどるからや。」

「休んでる?」


 思わず聞いた。ボコボコにされて入院しちゃったのかな?


「いや、怪我とかは特にないんや。問題は精神的な方や。」

「精神的……って?」

「想像してみいや。柔道しかとりえのないデブが可憐な美少女に負けたあとのことを」

「お前どさくさに紛れて結構ひどい事言ってるなー。」


 まあ、直原君の言わんとしていることは分かる。漣さんに負けたショックで意気消沈となっていることだろう。

 ……僕が彼の立場なら一生立ち直れないかもしれない。思わず僕は面識のない先輩に同情してしまった。樟先輩が無事に立ち直るのを心から祈るばかりである。


「それでや。近いうちに彼女に決闘をしようと思う。」

「そうなんだー。そのために情報収集とか頑張っていっぱい集めたんだー。」


「そうか。まあ頑張れ。」


 今日の昼食であるエクレア1個を食べ終えた鼎君は特に関心がなさげにそっぽを向いた。

 でも、そんな対応に2人はお気に召さなかったようだ。


「まてなんで他人事やねん!さっき頼んだやろ!」

「というわけで闘ってくれ師匠ー!」

「「「「「「「「「「「「なんでだ!」」」」」」」」」」」」


 クラスの皆が同じタイミングで突っ込んだ。

 それにしてもこのクラスの人達はリアクションがすごいね。




登場人物紹介 1.


逢河耀家 Aikawa Akiya

 誕生日:9/11 血液型:B型 クラス:1-1

 身長:170cm 体重:60kg

 得意科目:日本史 苦手科目:英語

 好きな食べ物:たこわさ 嫌いな食べ物:白和え

 概要

 この話の主人公的な存在。

 ですがこのお話は『この子の視点から見た高校の物語』なので

 この子はあんまし目立ちません。(キャラが弱いですし。)

 この高校においては普通の一般生徒に分類されている。

 学業は上の下と比較的良い方。


*これから彼がこの物語での活躍に期待です!(作者の腕次第ですが)

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