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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
15/21

第12話 4月24日 16:17 美笠高等学校 格技場⑤

2週連続の更新です(一応)!

逢河君が考えたした『奇(天烈な)策』とは!

その全貌がついに明かされる!

括目せよ!


……なに無駄にハードル上げてるんだろう私……。

 誰にも押さえつけられない世界最高峰の《チカラ》に魅入られ暴走しているのならば、対策は2つ。

 1つはそれ以上の力を以って押さえつける。しかしこれは不可能。

 そしてもう1つの方法。


 それは………。




 さて、作戦会議も終了したので漣さん達の様子を確認してみましょうか。


「は、離しなさい!」

「げへへ……。」


 漣さんは相変わらず意識がない。このままでは危ないかもしれません。

 寳野さんは不良たちに噛み付いている様子だ。


「アンタ達ねぇ。こんなことして恥ずかしくないわけ?」

「ああ恥だとも。だがなあ。俺達がこんなことになったのは俺達をコテンパンにしたこの女だ!」

「うっさい!痴漢撃退用のスプレーだのスタンガンとかまで持ち出したりしてるアンタ達に言われたくないわっ!」

「あああ、そうだよ!足りない実力を埋めたんだ!それのどこが悪い!将棋だって半落ちするだろう!」

「ひ、開き直り……あんたらどんっだけ性格悪いのよ!」


 全くの同意見です。全く清々しいまでのクズです。あと、それを言うなら駒落ちでしょうに。


「ふふふ。越後屋。そちも悪よのお。」

「お太加様ほどではありませんよ。ぐふふふふ。」


 挙句の果てにそんな寳野さんの叫びなど気にせずあたかも時代劇のノリでお約束の悪役の名シーンの如く笑いあう不良2人。

 彼女をモノにした後の事を考えているのかかなり鼻息を荒くしているようだ。下品ですね。

 でも知らないのでしょうか2人は。そう言った悪代官と悪徳商人は最終的には正義の味方に成敗されるということを。


 まあ、今回の場合正義の味方としては若干、いや、大いに問題のある面子ですが目の前のコイツらよりましです。


「さて……あとは」


 後の問題は事を起こすタイミングです。

 理想の条件としては、

  ①彼等が計画の成功を確信している。

  ②彼等が自分達の方に意識を向けていない。

 の2つです。


 まず彼等計画の成功を確信しているのはあのふざけた行動を見て間違いないでしょう。そんなふりをしていると言う可能性もあるのあるのですが……まあ、ないでしょうね。圧倒的に有利な状況で小細工はいりませんし、何より、そんな巧妙な芝居もできそうにないですし。

 2つ目の条件についでも今は寳野さんの周囲で人だかりができており、そっちを見ているため自分達を見ているものなどいません。と言うより忘れられてるかもしれません。

 チャンスと言えばチャンスなのですが、人だかりの中で何が起こっているかよく分からないので、もう少し様子を見ようかを考えていると、


「「「脱ーげ!!脱ーげ!!」」」

「「………。」」


 ………なるほど。

 こういういう事を聞くことをいいことに女の子の服を脱がすとは……さすが彼等、相当中身が腐ってます。

 これは急いだ方がよさそうです。


『それじゃあ直原君。大至急お願いします。』

『よっしゃ。任せろや。なんかあったら言えや。』

「……もちろん。」


「……く。」

「……え?」


 異変は彼女の少しだけの苦悶の声。


「う……うあああああああああああああああああっ!!!」


 漣さんが痙攣させて叫びだした。


「れ、聯!!きゃっ!」


 寳野さん様子が急変した漣さんに慌てて駆け寄り感電した。

 そして不良たちをキッと睨みつける。


「アンタ達!聯に……聯にいったい何を………。」

「し、知らねえ……。」


 そして睨みつけられ動揺する不良の皆さん。事態が理解できず動揺し混乱しているようだ。

 うん。そうでしょう。彼らは何も知らないのですから。

 ……言わなくても分かるでしょうが、この仕掛けをしたのは僕達です。




 数分前―。


「声を変えるアプリをインストールさせる。それはできますか?」

『え?ああ。できるけど……?』

「そして、そのアプリの設定を少し弄ってほしいんですけどね?」

『??どんな声にするつもりや?ヴィーナスの音声データはたくさん録ったから問題あらへんけど?』


 え?何で持ってるの?と聞きたくなりましたが時間がないのでそこは無視です。無視。


「いや、声を変えるつもりはないですよ。ただ声を変えようとすればいいだけだからね。」

『『……??』』

『……まさか……。おいおい、冗談だろー?』


 意外な事に早く気付いたのは、完全空気になっていたハリヤマ……もとい播磨屋君。


『逢河。もったいぶるな。時間がない』


 別に勿体ぶってはいませんが。確かに時間がない。なので急いで理解させる必要があります。


「直原君言ったよね?あれは声帯に電気刺激を送る事で声を変えるモノだって?」

『ちょ、ちょい待ち?まさか……。』


 ようやく気付いたのか大分動揺した声で問い返してくる。


「電気刺激を強く送って感電させる。もちろん死なない程度にね。」


『『『……。』』』


 3人から声が消える。それでも僕は話を続ける。

 自分達が窒息させている相手の様態がヤバい方に急変する。そんな事態に直面すればどうなるか?


「予想外の事態が起こればハイになっている奴らも頭が冷える。そして自分達が人を殺しそうになっていることに気付けば……。」

『怖じ気づく。だろうな……。特に《電源》を持っている奴は他よりも反応が顕著だ。周りの奴らもそいつを見る。持っている奴は持っている所を見る。』


 鼎君も完璧に作戦を理解してくれたようです。


「再びスイッチを入れられる前に……。」

『《電源》の奪取、もしくは破壊をする。だな?』


 鼎君。正解です。


『ホンマにやるんか?』

「これはあくまで手段の1つ。他にいい名案があるならその方がいいと思います。」


『しゃーない。今は時間が惜しい。なんかあったら止めろよ!』





 とまあ、以上の経緯でこの作戦が実行された。

 そしてここまでは予想通り。

 作戦は次の段階へと進ませる。


 この場にいる大多数が漣さんに集中している中、僕と鼎君は彼女の方は見ていなかった。

 なら何を見ていたのか?それは不良のリーダーの視線だ。


 想定外の事態になればリーダーは必ず部下に指示を出す。その際その相手の方に眼を向ける。

 その視線の先にいるのがスイッチを持っている人間という事だ。


「………いた!」


 案の定、有名な炭酸飲料のロゴが書かれたシャツを着用している男に目を向けていた。

 実際、襲撃者のほとんどがそのシャツを付けた男――《炭酸飲料》に集中している。

 そしてその《炭酸飲料》は右手をポケットに入れたままだ。


『……分かりやすいな。』


 チョーカーの向こうで鼎君が呟く。確かにその通りだ。


 これで、《電源》を持っている奴は分かった。これまた作戦通り。

 作戦はさらに次の段階へと進む。


「……よし。」


鼎君に目配せをして僕は飛び出す。

と言ってもスイッチを持っている男ではない。

 ならば誰か?


「お願いです。漣さんをどうにかしてください!!」


 それはリーダーの男に。

僕は必死にひたすら頼み込んだ。


「お願いします……。このままじゃ……このままじゃ……漣さんが死んでしまいます!!!」

「ぬ、ぬおっ……。」


 こうすることで彼らは理解したはずだ。

 目の前で人が死ぬ事を、そして自分達が人を殺してしまう事を。

幸いこの中の何人かが事態を無事に理解したようだ。そして理解したであろう人間は明らかに動揺している。


「………くっ。」


 案の定、完全にその場全員の視線が僕の方に向かっている。

つまり、誰もこの場で一番強い鼎君の方を見ていないという事だ。

そして、彼(・)の前でそんな隙をつくりなどすればどうなるか。火を見るより明らかだ。


「くわっ!!」

「何っ!!」


 仲間である男の悲鳴を聞き、一斉にその男の方に振り向く。

その先にいたのは。見事腕が変な方向に曲がって……うん。壊れた人形の関節くらいに変な方向に曲がった《炭酸飲料》は倒れこんでいた。痛そうです。


「お、お前それは……。」


 そして、鼎君の右手の中には絶滅種ともいえるフィーチャーフォンが握られていた。

 ……何を考えてそんなものにアプリを組み込んだのか分かりませんが、どうやら不良たちの反応からすれは《電源》はこれで正解のようです。


「その反応……どうやらスイッチはこれであっているようだな。」

「な、なぜ……こいつらは…………。」


 驚きと怒りのあまり後の言葉が続かないようだがおおかた予想はつきます。「①いつの間にこいつはこの距離を移動したのか?②何故こいつらは誰がスイッチを持っていると分かったのか?③何故こいつらは我々にたてつくのか?」選択肢と作るとすればこれくらいでしょうか。

 どうでもいいですけど。

 それよりもそろそろトドメを刺しましょうか。


「分かっているんですか?あなた達は人を……漣さんを殺すところだったんですよ!!」

「!!!」

「……あ。」


 最初の問題に戻りましょう。

 誰にも押さえつけられない世界最高峰の《チカラ》に魅入られ暴走しているのならば、対策は2つ。

 1つはそれ以上の力を以って押さえつける。しかしこれは不可能。

 だったらもう1つをとるしかありません。

 それは何か―?

 


 それは自分達が何をするところだったのかを理解させ、後悔をさせる。

 人を殺すことへの罪悪感。その重圧で人を潰す。

 つまり《チカラ》を畏怖させ、暴走を止めることだ。


「あ、ああ……。」

「うう……。」


 さすがにこの集団と言えど人を殺すほどの覚悟は微塵も持ち合わせていなかったらしい。次々と不良たちが項垂れ、そして崩れ落ちました。


 その結末に安堵し、張り詰めた緊張がほぐれるのを感じます。




 しかし――、世の中はそう思い通りに事は運ばない。

 そこで僕達は最大の失敗をしてしまった。

 


次号は久々に寳野さん視点でお送りいたします!

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