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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
13/21

第10話 4月24日 16:12 美笠高等学校 格技場③

 何とか今週中に更新できました(ギリギリでしたけど)。

 が、この先はあまり進んでいないのと仕事の都合で当分更新ができません。

 楽しみにしておられる方はもう少しお待ちください。

「おー。無様だなあ『金碧姫』さん。」


集団の先頭の位置を陣取っていたパンチパーマの男は頭と恰好にに似合わず丁寧な物腰かつ自分に酔った口調で勝ち誇った笑みを一切隠さずに言った。


「アンタ達が!聯を!」

「その通りだよ。」


簡単な問題を解くかのようにアッサリとやや自慢が混じったような言い方で答えた。

 相手を嘲るような台詞と態度に寳野さんは怒り心頭だ。そこにリーダーの男は追い打ちをかける。


「しかし苦しそうだなあ。これは早く何とかしないといけないなあ?付き人さん?」

「あんた達……。」


 寳野さんが怒りの形相を曝したままそのリーダー格の男……パンチと呼ばせてもらうが、その男に向かってとびかからろうとするが、


「おいおい。誰に物を言っているのかわかってるか?大事なお姫様の息の根を止めることだってできるんだぜ?」

「ぐっ……。」


 そう言われて飛びかかろうとする寳野さんの態勢が止まった。しかしその怒りの形相は決して崩れなかった。


「それでいいんだよ。」


 そう言われて何も言えなくなってしまう寳野さん。

 それを端から見ていたふくよかな男性はパンチに向かってニヤケ顔を隠さずにこういった。


「ふふふ。越後屋。そちも悪よのお。」

「お太加様ほどではありませんよ。ぐふふふふ。」


 そんな寳野さんの暴言など気にせずあたかも時代劇でお約束の悪役の名シーンの如く笑いあう2人。

 彼女をモノにした後の事を考えているのかかなり鼻息を荒くしている。

 でも知らないのでしょうか2人は。そう言った悪代官と悪徳商人は最終的には正義の味方に成敗されるということを。


 ……そんなことを突っ込んでいるのは果たして余裕がないのか現実逃避をしているかなのかを考えあぐねていると、


『おーいどうしたんや?なんかあったんか?』


 そんな緊迫した空気を見事にぶち壊すのんびりとした声が聞こえてきた。


「あ、な、直原君?あの決闘終わって漣さんが窒息してたくさん人が来てその」

『落ち着け!何言うとるか分からん!深呼吸深呼吸!』

「あ、うん。分かった。」


 思わずまくし立てるように言い放ってしまったが、思い返してみると確かに早口で所々噛んでしまっていて何一つ直原君に伝わっていない。

 指摘通り深呼吸をして状況を説明しようとしたときに気づく。


「えーっと。僕も何がなんだが……。」


 実際漣さんが倒れてしまってからの話の展開がかなり突飛なので……自分も何一つ分かっていないことを思い出して何も言えずにいた。

 しかし、直原君も今がのっぴきならぬ状況だということだけは察してくれたのか、


『なんかレンレン様が大変なことになっとるって言うとったけどどうなっとるんや?話してみい?』


 なので僕は直原君に今までの事をありのまま全てを話した。


「で?何か分かった?」

『さあ……?他になんか気づいたことはあるか?』

「他……?えっと……?」

『彼女のチョーカーのランプの色が変わった。』

「え?鼎君?」


 鼎君の方を見ると何やらチョーカーをつかんで話をしていた。


『クロストークせてもらった。』


 クロストークとは3基以上の電話を通話状態にさせるモードで、1世紀近く前に電話機能に追加されたが、通話代がかかるのと需要がないのとで実用性が皆無だったりするサービスだったりする。


「それよりランプって……スイッチのそばにある緑のランプの事?」

『ああ。そうだ。』

『……………。』


 そして直原君はわずかに逡巡した後。 


『なるほど分かった。ウイルスやな。』


 直原君は先程の不良くらいにあっさりと答えた。


「ウイルス?インフルエンザとかの?」


 思わずバイオハザードを危惧してしまったが電話の向こうにいる直原君が慌ててそれを否定する。


『そっちのウイルスやない。コンピュータウイルスや。』

「こ、コンピュータウイルス……?」


 その答えに僕は混乱してしまった。

 当たり前の話だがコンピュータウイルスはコンピュータではない人体には直接的には何の影響も与えない。

 漣さんがサイボーグだというのだろうか……?

 そんな頭の中が?マークで埋め尽くされていた僕に直原君は質問を投げかけた。


『さて質問。鼎ちゃんの声ってどうやって変えた?』

「そりゃ声を変えるアプリを作ったって……。」

 

 先程の話の内容を思い出してそのまま答える。


『じゃあもう一つ質問。『声を変える』ってどうすればええか分かるか?』

「え?ヘリウムガスを使うんじゃないの?」


 大体声を変えるパーティグッズとして最近はコンビニにだっておいているのだから(買ったことは無いが)


『それもある。ヘリウムガスの場合空気の振動の伝わり方が変わるからだがこのチョーカーはそうじゃない。』

「???」

『声帯に電気刺激を与えることで直接発生する音を変えているんだ。』

『……まさか……。』

「………はあ?」


 鼎君は何か分かったらしい。

 しかし、僕はこのとき彼は何が言いたいのか分からなかった。

 そのためにその直後に彼の言った言葉に衝撃を受けた。


『要するにこいつらはこれを利用して直接気道を圧迫し呼吸を止めている状態となる。』

「……はあっ!?」


 思わず声を上げそうになり、言葉をしっかりと飲み込む。

 危ない危ない。外部に通話していることがばれたら本当に詰みになってしまう。


「ウェアラブル端末の弊害や。コレは思考という『生命活動』を『チョーカー』に干渉する。逆もまたしかりや。」

「ぎゃ……『逆』って……?」


 思わず疑問形になってしまったが別に話の内容が分からなかったわけじゃない。

 衝撃的な話の内容に唖然としてしまったからだ。


 つまるところ彼の言いたいことは。『生命活動』が『チョーカー』に干渉するならば。『逆』にチョーカーが生命活動に干渉することだって可能という事だ。

声とは喉にある声帯から出てくる音の事。

 それに干渉できるのならば大本である喉、つまりは呼吸器自体も干渉できることも可能だ。

 しかし、


「そんな馬鹿な……。」

「まあな、21世紀のものやったらそんな事にはならんかったけど正確かつ迅速な思考操作をするんやったらそれくらいのことをせなアカンかったんや。」


 ただの情報端末に過ぎないチョーカーにそんな機能があるなんてとても考えられえなかった。


 しかし、チョーカーはパソコンと違い手を動かさずに思考だけでプログラムを動かす思考操作を採用している。その思考操作をより迅速かつ正確に行うには、脳波をより強く受け取れるくらいに反応をよくしなきゃいけない。そこは分かる。


 逆にチョーカーから人体に干渉することも可能だ。

 分かりやすく言うならば電気を動力に変えること動力機関でもあり、なおかつ動力を電気に変えられる発電機でもあるモーターのようなものだ。


 が。


「そ、そんな欠陥品を僕達はつけているってわけ?」

「いや、そうならへん為のプロテクトがついとるわけやけど……。」


 誰かが強引に解除した。という事だ。

 その事実に僕は怖くなった。なぜならこのチョーカー作っている会社……『Utopia Systems』というは世界の中で最高のネットワークのプロテクト技術を持っているからだ。

 その会社のシステムが干渉された。その事実がこの都市に取って何を意味するか?

つまりだ。このシステムを使えばこの街をたった1人でも掌握できる。

 それが怖くなったからだ。


 しかし今はその話は後回しだ。


「ねえ直原君。そのウイルス除去ってできる?」

『まかせえや5分、いや、3分でどうにかしたる。それまで時間稼ぎや。』

「か、稼ぐって……どうやって?」

『ワクチンソフトを速攻で作るんや』

「そもそも。簡単にワクチンソフトなんて作れるの?」

『ああ。OS自体は普通のパソコンとそんなに変わらへん。ただそこに強力なプロテクトが書かっとるだけの話。当然ワクチンソフトもきかへんねんけど……。』

『プロテクトを解除している今なら通用するかもしれない、と言うことか。』


 それにしても3分。僕は思わず唇を噛んだ。

 実際、目の前の彼女は寳野さんの呼びかけにも反応していない。

 素人の見方であるが3分という短い時間はかなりギリギリになるだろう。


 彼の作戦は要約すれば。

 3分間彼女を守れということだろう。

 工作していることがバレなければいい。

 しかし、相手は世界最高峰のプロテクトを破る怪物がいる状況でそんな楽観視などできるはずがない。

 バレてしまえば最悪この人数を戦闘と言うことになる。


 寳野さんも人質を取られ手を出せない。

 鼎君もさっきの戦闘で満身創痍。


 そして、あいにく僕は体育会系ではない。

 ありがちなラノベの主人公達のようにすごい能力なんてあるはずもない。

 ありがちなラノベの主人公達のようにこんな底の知れない勢力を相手にする展開なんてなんて今の今まで考えたことなんてなかった。


「分かった。任せて。」

「任せろ。」


 だが。

 やるしかない。

 白熱した決闘を汚された憤りがある(見ていただけだけど)。

 そしてやらなければ漣さんが死んでしまう。


『じゃあ。作戦開始や。』


 1人の少女の命を救うための長い3分の戦いが、今、始まる。



 おまけ 4月24日 16:14 1-6教室


『おいハリヤマ!かくかくしかじかや!』

『俺の名前は……って何!それは大変だ?』


 通じてる!?どうして?


『だったら一肌脱ぐしかねえな!』

『ああ。こっちもやったるで。』

『おい直原!お前補習中にパソコンを……いや、そもそも学校にパソコンなんぞを持ち込むとは何事だ!』

『堪忍な先生。こっちも命がかかってるんや。』

『いったい何を言って……おい播磨屋!どこへ行く!』

『ごめん先生この埋め合わすは必ず!!』


『お、おい……!貴様らああああああああああああああああっ!覚えとれええええええええっ!』


 ………。

 二人の未来に幸あれ。


 

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