第9話 4月24日 16:10 美笠高等学校 格技場②
この作品をお読みの皆様!!
たいへん、そう!たいへん長らくお待たせいたしました!
久しぶりの更新です!
約5か月ぶりではありますが、ぜひお楽しみください!
「聯!!」
漣さんが倒れた直後、隣にいた寳野さんは漣さんに向かって一目散に駈け出した。
『『やったあああああああ!!!!!あ、いえいえ。今やっと難しい問題が分かったってことです!』』
電話の向こうで2人が快哉を上げる。
そして案の定、補習担当の先生にバッチリ注意をもらったようだ。
勝負は決まった。が、鼎君の顏には先程まで浮かべていた喜びの色は一切なく。ただただ不快気に歪めていた。
その様子はこの間不良数十人をボコボコにした時と同じだった。
「鼎……さん?どうしたの?」
いや。違う。訂正したい。今回の不快気な顔は前回の物とは比ではない。
明らかに彼は怒っている。
しかしこれは彼女に対してのものではなかった。
「……誰だ。」
「え?」
その直後、漣さんに駆け寄って行った寳野さんの焦った叫び声が格技場に響いた。
「れ、聯!どうしたの聯!」
「え?」
僕は思わず間抜けな声を上げていた。
漣さんは何処か苦しげな顔が目に飛びこんできたからだ。
寳野さんは顔を青くさせていたが漣さんの顔はそれ以上に真っ青になっていた。
いや、彼女の呼吸がが弱弱しくなっている。
これはどう考えても只事ではない。
鼎君か本気で殴りあった時にどこか打ち所がわるかったからだと思ったが僕がそれを口に出す前に鼎君は首を横に振る。
「それはない。確かに俺達は全力で戦ったが最後の打ち合いは彼女に攻撃が当たる前に倒れた。」
じゃあどうして?
「じゃあ……彼女はいったい……。」
僕の疑問に鼎君はすんなりと答えてくれた。
「これは……チアノーゼだ。」
チアノーゼ。
そう言われて彼女の顔を覗きこむと唇が青くなり始めていた。
確かにそれは世間一般的なチアノーゼの症状だ。
でもそれは血中の酸素濃度が下がった状態、つまり彼女は窒息している状態だという事になる。
今この状況で窒息なんてするはずが……。
「一体どうして?どうしてよ?どうして聯が……!」
どうしてを連呼する寳野さんは鼎君に向かって僕と同じ疑問を喚き散らす。
しかしその怒気も直後に発せられた更なる怒気に消え去った。
「誰だ……。」
「え……。」
「!!!」
彼の怒気にあてられ沈黙する僕と寳野さんを眼もくれず、格技場の入り口をただ見据えてポツリとつぶやいた後、
「今扉の外にいる奴は誰だ!!!出てこい!!!」
普段の彼とは考えられないほどの荒々しい怒声を喚き散らした。
思わず僕は声をかけたまま硬直してしまった。それは漣さんを抱えていた寳野さんも同じだ。
そしてそんな時が止まったような静寂と硬直は入口の引き戸を強引に開ける音によって破られた。
そして謎の私服姿の男――パンチパーマの男を先頭に続々と人が入っていった。
「え、えええええ?寳野さん。誰ですか?」
「知らないって言いたいところだけど、最近何人か聯に会ってたわね……。」
いつどこで?なんて事は聞かなかった。彼女たちの最近の行動知っていれば彼らの何人かとどこで会ったかなど分からない訳がない。
そう考えている間にも入口から10人ほどの男がわらわらと出てくる。
入ってきた男達は見た感じでは高校生くらいだったが美笠の制服を着ている人間はいない。もしかしたら美笠の人間ではないのかもしれない。
なんにせよ、あまりの予想外の展開に僕の頭は真っ白になりそうに……。
「………。」
いや、真っ白になっていた。
「しっかりなさい!!」
「イタッ!!」
そして思考の空白に陥っていた僕を見た寳野さんは一発ぶん殴られた。
そんな彼女は明らかに怒っていた。どうやら彼女は怒りのあまり真っ白になれないのだろう。
鼎君の方を見てみると、怒ってはいるが先程の怒気は全く感じられず自分に酔っている彼らとは違う意味で余裕があるように見える。
……この状況で平然としていられるなんて何者なんだろうと思った。
「おー。無様だなあ『金碧姫』さん。」
パンチパーマの男が口を開く。
その時僕の脇にいる寳野さんは彼を睨み、少し離れた位置にいる鼎君は彼を一瞥しただけですぐさま周囲を見渡して状況を打破しようとしていたが、
「…………………………。」
思考の空白からは回復したものの、この数分で目まぐるしく変わる展開に僕はついてこれず、何も考えずにただキョロキョロとしているばかりだった。
*今回は短めでしたが、区切りのいいところで切らせてもらった結果であり
次回分は着々と進んでいます。(来週あたりには出せるかと……。)
完結までもう少し時間がかかるかと思いますが何が何でも完結させて見せますのでこの作品を楽しみにしておられる方(おられるかどうかは分かりませんが)は申し訳ありませんが辛抱強くお待ちください!




