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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
10/21

閑話2  4月24日 14:10 美笠高等学校 1-8教室

 お待たせしました。久しぶりの更新です。

 本当に戦闘描写難しすぎです……。

 時は少し遡り5時間目の昼休み。


「えっと……今日も決闘なんですか?」

「うん、そう。」

「え?また決闘なの?飽きないわね……。」


 今日もまた決闘をするといった聯に対するコメントだ。


「そ、そんなこと言っていていいんですか?」

「だってー慣れたっていうか今更だしね。何回目か分かってる?もう3ケタ言ってんじゃないの?」

「そうね。もうこのクラスの男子はほぼ全員決闘してるんじゃないの?」


 そう言って周囲を見渡すと男子は目を逸らし女子はこちらを睨みつけてくる


「……。」

「気にしちゃダメよ。っても気にしてないか……。」

「まあね。」


 男子からのあまりの彼女の人気ぶりに女子からは快く思われておらず。クラスの女子の中で話しかけるのも、私を入れて七城雪とトモミ(本名不明)の3人だけだ。


「でもなんで決闘して勝ったら恋人にしてあげるの?」


 女子たちから嫉妬の視線に曝される中トモミが聞いてきた。


「だってたくさん告白してうざいし。何回告白してきても諦めないし。」

「だから闘って負かせれば告白する人も減るだろうってことですか?」

「そう。」


 聯は頷く。

 実際以前に比べ何度も何度も告白してくる人間は減っては来ている。


「で、決闘になったら楽になったの実際?」

「正直ウザったい。けど告白にいちいち対応するよりはマシ。」

「そ、そうですか?決闘の方が面倒じゃありません……?」


 普通の人なら告白の方がマシだろう。しかし、彼女は由緒正しい武門の家の娘。告白よりも対外試合という名の決闘の方が慣れ親しんでいる。

 学校から帰っては道場で技を磨く毎日。それが彼女にとっての日常だった。


「あ、あの……聯ちゃんって毎日楽しいですか……?」


 雪ちゃんの質問に一瞬言葉を詰まらせた後、いつものように答えた。


「……よく分かんない。」




「は、始め!」


 所変わって2時間くらい後の格技場。


 頭にコブを作って若干涙目の逢河君が改めて決闘の始まりを宣言を聞き我に返った。

 決闘の合図を噛むという馬鹿なことをしたのでグーで殴ったのだ。


 とはいえ、私はそれほど心配をしていたわけじゃなかった。

 聯は強い。それは先日の全国どころか世界でも十分に通用する柔道部部長に圧勝した事を見れば火を見るよりも明らかだ。


 しかし、一瞬で5mの差を埋めるくらいに加速するのは予想外だった。


「しゅ、縮地……?」

 

 これは日本武術における縮地と言われる技と思う。

 縮地とは瞬時に相手の間合いを詰めたり、相手の死角に入り込む技技だ。

 名の由来は距離を縮めることで長距離を一瞬で移動する仙術からという話を聞いたことがある。


 とはいえ普通の縮地は決して傍観者側まで見えなくなるくらいまで距離をつめるものではない。


 こんなことをやってのける少女は、高校生レベルの技じゃない。絶対に達人級と言ってもいい。

 昨日感じた聯の嫌な予感。それがなんだったのかが今分かった。


 しかし。

 これはもう決まった。と彼らは間違いなくそう思っただろう。しかし私はこんな相手にしても聯の勝ちを疑っていなかった。


「ぐあっ!!」


 事実、攻撃を仕掛けたかなえさんは聯によって投げ飛ばされ壁に叩き付けられていた。


「え?な、何が?」


 かなえさんが投げ飛ばされるどころか、彼女が縮地を使ったことも理解できない逢河君はこの戦いについていけず呆然としている。


 聯がしたことは単純明快。かなえさんの攻撃の勢いをそのまま利用しかなえさんを投げ飛ばした。ただそれだけである。


「え?それって……合気道?」


 そう説明すると逢河君はそう答えた。さすがに名前くらいは知っているらしい。

 日本を代表する武術の1つである合気道。それをいま聯は使ったのだ。



「さすが4万で雇われるだけのことはあるわね」

「4万と言っても大部分が『彼』の衣装とか化粧代ですけどね……。」


 隣にいた彼は何か言ったがよく聞き取れなかったのでスルー。


「それにしても……。」


 壁をよく見ると罅どころか大穴が開いている。

 逢河君はそれを見た後こちらの方を見てきた。私はそっと目を逸らす。

 逸らしながら私は思った。


「(……確かこの格技場って2~3年前に建てられたばかりの新しい施設じゃなかったっけ……?)」


 そして目を背けているのにも構わずに質問をしてきた。


「………。あ、あの……ここって学校の施設ですけど学校に許可はちゃんととっているんですよね?」


 その質問は聞かれる前からすでに予想済みの質問だった。

 なので私はあらかじめ用意していた簡潔な返答を告げる。


「……とってるわけないでしょ?」

「えっ?」


 素っ頓狂な声を上げる。

 確かにまともな精神ではないだろう。事実私もそう思う。

 実際ここがいくら変人が集う高校とは言え、その実態は普通の高校と何の変りもない。

 なので決闘に使わせてくれなどという理由で場所を貸してくれる良心的な先生などいるはずがないのだ。

 なのでここは柔道部が休部中(唯一の部員である部長が休学中)であるため、黙ってここを使わせてもらっている。

 それに例え許可を取っていたとしても中の物を壊していいはずがない。ましてや壁なんぞ言語道断である。


 そんな恨みがましい視線を振り払わんと大きく咳払いをすると。


「で、でも残念ね……。かなえさんには中々驚かされたけどあれだけの衝撃を受ければ勝負はもう……。」


 実際、彼が叩きつけられた壁は大穴が開いている。

 逆を言えばそれだけの力が彼女にあったということでありそれはそれで恐ろしいことではあるが。


「ね、ねえ……漣さんまだ構えを解いていないみたいだけど……。」


 隣の逢河君に言われて気付く。いつもなら勝負が決まればすぐに解く構えを未だに解いていない。


「聯?どうしたの?」

「まだ。」

「え?」

「まだ終わりじゃない。」


 は?と言いそうなになった瞬間。

 

「驚いたな。まさかここまで綺麗に返されるとは……。」


 穴の向こうから声が聞こえた。


「え……?」

「嘘……。」


 無傷。いや、髪の毛はドロドロで服には木片や埃や張り付いているが擦り傷は見当たらない。

 気絶しても、いや、骨を折っていたって決しておかしくないほどの衝撃を受けたはずなのに何もなかったかのように身を起こした。


「しかし体の動かし方、技の捌き方共に相当なものだ。断言してやる。お前は今まで戦った中で1番強いってな。」


「え、ええと……ねえ?なんで鼎く……さんは無事なの?」


 訳も分からず聞いてくる逢河君。

 しかし私もそれは同じだ。


「ま、まさか受け身を使って完璧に衝撃を受け流した……?」


 確かに柔道を修めた人が自転車にはねられても受け身を使ったおかげで擦り傷で済んだという話はちらほらと聞く。しかし壁に穴が開くくらいの威力で突っ込んで無傷というのはあまりにもおかしい。

 目の前の少女のすさまじさが否が応でも分かる。……彼女は危険だと。


「だから……全力を出す。全力をだ。」


 それを見た私は背筋に冷たいものが走った。少しだけ武術をかじった私でも分かる。

 彼女は……危険だと。


 殺気を放ったあと。

 再び開始早々に使った『縮地』を使った。

 しかし、全力といった割に使ったそれは先程のものと何ら変わりはないものだった。

 それを見て私は思わず鼻で笑う。


「馬鹿ね!同じ手で突っ込んだって返されるのが――。」


 そういった私の言葉が途中で途切れる。先程とは逆に聯が攻撃を受け突き飛ばされたからだ。


「なっ!」

「え?」


「あ、あなた!何をしたの?」

「別に。ただフェイントをかけただけだ。」


 彼女は大したことないと言いたげに淡々と言い放った。

 実際合気道というのは力そのものそれほど重要視しない代わりに向かってくる力を受け流すタイミングがかなり重要になる。早すぎても遅すぎても技は成功せず自身の負けがぐっっと近づいてしまう。それほどまでにリスクの高い武術なのである。

 なので攻撃に虚実を織り交ぜ技のタイミングをずらすことで力を受け流すことをできなくさせたのだ。


 しかし、言うのとするのとでは一度見ただけで技のタイミングをつかむのはあまりにも異常だ。


「まさか……寸止めで無理矢理タイミングをずらすなんて」

「確実に沈めたと思ったが……どうやら受け身の方もなかなか上手いようだな。」


 しかし、聯はかなえさん程受け身がうまいわけじゃない。当然だ。なぜなら彼女の戦い方は攻撃を逸らす事であり攻撃をくらうことなど全くと言っていいほどないからだ。

 なので受けた衝撃を逃がしきれなかった聯は若干態勢がふらついており足も若干庇っていた。


「聯!!」


 ダメージを受けた聯を滅多に見たことがない私は思わず叫んでしまった。


 しかし。


「大丈……夫。優ちゃん。」


 聞こえてきたのは掠れた声。

 だが、発した彼女の声はしっかりとした真が通っているように聞こえる。


「成程。どうやら本気にさせたらしい。」


 それを感じ取ったかなえさんは構えを崩さない。

 聯の放つ気が変わった。より刺々しく、より荒々しく、そして、より強く。


「勝負はここから。絶対に負けない。」


 そこにはいつもの気だるげな表情はどこにもなく、真摯に戦いに挑む聯がそこにいた。



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