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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
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プロローグ  4月20日 20:38 美笠中央公園

「これは……また。」


 私は目の前の光景に絶句してしまった。


 そこ広がった光景は雲一つ無い十六夜の月に照らされた公園。

 そこに一人の少女が立っていた。

 その少女は黄金の長髪。翡翠のように輝く瞳。その容姿や出で立ちは嬋媛(せんえん)という言葉がよく似合う。

 まあ、この馴染みのない言葉は今日の現代文で習った『草枕』からの言葉ではあるが。

 

 ……とはいえ、そんな彼女を他人が評価するならば10人が10人とも美人と評するだろう。

 その美貌に加え銀色の光を浴び、さらに海からの風でなびく。

 あたかも名画をそのままこの場所に張り付けたの様な光景は見るものに感動を与えてしまう。


 誰もがその光景を見てため息をつくだろう。

 同性の私でも思わず息をのんでしまったほどだ。


 ただし、私が絶句しているのは幻想的な光景ではなく

 彼女の足元に倒れている人影を見てだ。


「お疲れ様。また派手にやっちゃったみたいね聯。」


 木々の陰から私は目の前の美少女……(さざなみ)(れん)に声をかけた。


「別に、こんなの大したことは無いわ優名。」


 そのあまりにも異様な光景を前にしても聯は私……寳野優名(ほうのゆうな)に対してどうということがないように答えた。


 ちなみに倒れているのは小柄な彼女に比べ頭一つ半分は余裕で越えているくらいの巨人。しかもガリガリのノッポなどではなく関取と見間違うくらいの巨漢。よく見れば腕まくりしている両腕からは、はち切れんばかりに筋肉が露出していた。そんな人物を聯は倒してしまったことになる。


「でもね聯やりすぎじゃない?」

「まあ、それは……恐かったから……つい。」


 聯はやりすぎだとは思っているのだろうが反省の様子は見られない。

 というよりあんな巨漢を倒した聯のほうが恐いのだがあえて突っ込まない。

 まあ仕方ないかと思いつつまずは倒れた巨漢の様態を確認するのは最初だ。


「う………うぐ……。」

「怪我はしていないみたいだし……まあ大丈夫みたいね。」


 倒れている巨漢は意識を失っているものの呻き声が聞こえるので生きてはいるようだ。なのでほっと胸をなでおろす。親友に殺人の前科がつくのはあまりにも嫌だったからだ。 


「優名ひどい。この程度で私がダメージなんて受けるわけがない。図体ばかりでかいだけの雑魚だし。」

「聯。もう少しあなたはオブラートに包むということを覚えたほうがいいわよ。」


 そして見るからに強そうな巨漢に向かってこの程度と言いきってしまってはこの巨漢の立つ瀬がない。 起きていたら間違いなく泣いているだろう。


「う、うう……。ぐすっ。」


 訂正、呻き声の所々に鳴き声が混じっていたことから彼は目を覚まして泣いていることが分かる。

 これはしばらく立ち直れないだろうと少しばかり彼に同情した。

 そして気絶から回復していることが分かっている上で(彼女の実力からすれば気絶の時間を調節すること自体簡単なのだから)であんな激辛なコメントを言った聯に恐いを通りこして呆れてしまっていた。


「ねえ。一応聞いておくけど。」

「何?」


 泣いている巨漢を無視し、私は聯に聞いた。(ひどい女だなどと思わないでほしい。無視するというのも優しさの一つなのだから。)


「決闘に負けたらどうする気?」

「私は負けないけど?」

「だからもしもの話よ。」


 聯は少しばかし人差し指を頬にあてながら考える仕草をすると、


「ないと思うけど。そうね。私は勝った人と恋人になる。」


 そう力強く、はっきりと答えた。




 しかし、その時私は気付かなかった。

 その様子を物陰から窺っていた人影に……。

 あらすじに書かれている『水上都市』の設定はあくまで後付けです。

 なのでそれっぽい描写は当分出てこないことをご了承ください。

(いつかは出てきます。……いつかは。)


 初投稿の作品でもある拙作ですが、お楽しみいただければ幸いです。

 林奎

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