名無しの権兵衛物語
「おい、作者」
いきなり冒頭からメタなことを言い出した彼は、私の作品の中で偶に見られる名前の無き主人公。
「ちょっと待て。俺って名前無いの?」
名前が無い。でもそれの何が悪いのか。
それで物語が成立するのならばそんなのどうでもよい話。だというのに。
名前なんて飾り、メタな人にはそれが解らんとです。
「なんで博多弁⁈」
またツッコミ。こういうキャラのメタな発言は読者の作品への没入感を削ぐってのに。主人公ならその辺のところ弁えていて然るべきやなかろか?
「いや、いいだろ、そんなの。メタは主人公の特権だっつの!」
そういうもんやろか。そこは読者に訊かんと判らへんと思うんやがどないやろ?
まあええか。これもメタを好む作風の作者の作品やし、ありっちゃありやな。
んで、これからどないするんやったけな?
「どないって、だから名前。まずはそれ!」
ええやん、そんなん、めんどくさい。
「めんどくさいじゃない。名付けは作者の義務だ義務」
ええ~っ。そんな無体な。
「なんでもいいから早くしろって。ちっとも話が進まないじゃねえかよ」
じゃあ、メタなことを言うからメタ太郎。
いや、それよりも、よく考えたらちゃんと名前って付いていたよな。作品タイトルが名無しの権兵衛やし。やから名前は権兵衛か。
「それは名前じゃなくて仮名だろ。そもそも名無しって冠してる時点で名前が無いってことに変わりはないじゃないか!」
なんやそれ?
作者がつけるのだからどんな名前でも名前は名前のはずなのだが。それこそ“○んこ”だろうが“ピー!んこ”だろうが何でもありやと思うんやが。
「ねえよ! てか何だよその伏字ネームは!
絶対に主人公に付ける名前じゃないだろ。某ゲームだと呪いがかかって変更が利かないやつだし。いや、それよりも規約違反で垢BANだっつの」
でも伏字。
「当たり前だって。じゃないとマジで垢BANだろが」
まあ、それはそうだが。
しかし本当に名付けはめんどくさい。
もういっそやめてしまおっか。
うん、そうしよう、そうしよう。
というわけでこのお話はここまでです。
こんなふざけた話でもいいのだろうか。




