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追放されたけど、最弱スキル〈修繕〉で辺境スローライフ満喫します  作者: 妙原奇天


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第33話 崩れた橋 ― 修繕士の初任務

 王都から半日。

 僕たちが到着したのは、深い渓谷をまたぐ巨大な石橋だった。

 かつては商人や旅人が行き交い、王都と地方を繋ぐ重要な道。

 しかしその橋は、無残に砕け落ちていた。


「……ひどい」

 瓦礫が谷底に散らばり、残った橋脚も黒焦げになっている。

 炎と爆薬による破壊だと一目で分かった。


「これでは商隊も兵の補給も止まってしまう」

 セリーヌが険しい顔で呟く。

「アルヴェリアの狙いは明白ですね。王都を孤立させるつもりです」


 そのとき、瓦礫の影から矢が飛んだ。

「敵だ!」

 ルシアがすぐに剣で弾き、駆け出した。


 森の中から現れたのは、黒衣の工作兵たちだった。

「修繕士を阻止しろ! あの橋を直されては困る!」


「やっぱり狙いは僕か……!」

 胸の奥が冷たくなる。


「リオン殿、修繕に集中を!」

 ルシアが叫び、剣を振るって敵兵を押し返す。


 セリーヌも魔術で防壁を展開し、僕の周囲を守ってくれた。

「急ぎなさい! 橋を直せばこちらに有利になる!」


「分かりました!」


 僕は深呼吸し、崩れ落ちた橋に両手をかざした。


「〈修繕〉――繋がれ!」


 光の糸が奔り、谷底に散らばった瓦礫が空中を舞い上がる。

 砕けた石が組み合わさり、ひび割れた橋脚が再び形を取り戻していく。


「す、すごい……!」

 守りを固めていた兵士が思わず息を呑んだ。


 だが同時に、胸を締めつける痛みが走る。

 橋の規模は大きく、修繕の負担も膨大だ。


(耐えろ……この橋を繋ぎ直せば、人々の暮らしも、国も守れる!)


「阻止しろぉぉ!」

 敵兵の一人が叫び、爆薬を抱えて橋脚へ突進してきた。


「させない!」

 ルシアが剣を構え、激しく火花を散らす。


「リオン、急げ!」

 セリーヌの声に背を押され、僕はさらに光を強めた。


「……あと少し……!」


 最後の欠片がはまり込み、眩い光とともに橋が完全な姿を取り戻す。

 大地を揺るがすような轟音が響き、橋は堂々と渓谷を跨いだ。


「や、やった……!」

 兵士たちが歓声を上げた瞬間、敵兵たちが一斉に撤退を始めた。


「撤退しろ! 修繕士の力は本物だ!」


 崩れたはずの橋が蘇った光景に、味方の兵も村人も声を震わせた。

「これが……修繕の守護官……!」

「本当に国を救う力だ!」


 汗だくになりながらも、僕は微笑んだ。

「……よかった。これで、繋がった」


 渓谷に吹き抜ける風が、どこか祝福のように感じられた。

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