表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
烏山ヲバ利  作者: 紡彩陳
5/9

それまで

金城さんはそんな話をしてくれた。

「この話に出てくる「腕」つまり、兼続の腕はその木箱の腕でしょうか?」

「はい。そうです。これが兼続の腕、または嚼塊異明神の腕とも言われています。」

「嚼塊異明神の話に準えてそう言った名前を付けられたのですか」

「うーん。眉唾な話みたいに聞こえるかもしれんが実は違うんだ。兼続の魂と嚼塊異明神魂はイコールで繋がっていると考えてほしい。彼らは魂をずっと持ち続け、一つの体を持ち続け生きていた。なのだから兼続の腕であり、嚼塊異明神の腕であるのだ。そういえば、あなたの近くにも「頭」があるでしょう。」

「はい…ありますけど」

「その頭も、兼続です。」

まっすぐ見てそう言われた。

「なぜそれを明神と言ってしまったか…吾輩はわからないのですが…」

「わたしも、そんなこと父から聞いていませんし…」

「そうですか。後、もう一つ。あなたに伝えたいことが。あなたと吾輩は六百年後の子孫なのです。」

恐ろしいことを言ったな、そう思った。

「はぁ…私は何かによって殺されてしまうのですか…?」

「吾輩も信じきれません。ある種、おとぎ話のような気もするのですが、誰かわからぬ手も残っていますし…突然ですが、今度の土曜日、空いていますか?」

「えぇ。空いていますよ。」

「したら、こちらの住所のところまで来ていただけますか?」

そこには金城寺の住所が書かれていた。

「吾輩のほうが整っていると思います。資料もありますので。吾輩もつい最近そのようなことを父に言われ、急いでここに来たもんですから、まとまっていないことや、わからないことが多々あります。父が知っているので、どうすればいいか、話しましょう。」

バァーっと言われたので、うなずく隙もなく、聴くだけだった。

その後、また何かを唱え得始めた・

願和久婆四方八方古乃(ねがわくばしほうはっぽうこの)神殿(しんでん)遠紙部(をかみへ)()()(たまも)()

さっきまで豪華だったあの神殿は一気にただのしぼんだ紙へ変容してしまった。

「ささっ。中へ出ましょう。」

腰を曲げ、出てきた。

「今日はありがとうございました。今度の土曜、金城寺に来てください。」

「わかりました。お気をつけ、お帰りください。」

金城さんは車に乗って神社を後にした。一日の少しの時間なのに、一年がたったように疲れた気分だった。私はその場にすわり、沈む太陽を眺めて時間が少しづつ溶けていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ