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逃さぬ
突然のアリアの叫びに騒いでいたエルフ達が静かになる。
困惑しているエルフ達をよそにアリアの言葉は続く。
「この者は、我らをワイバーンから救いにきた女神様の使徒であるぞ。
その使徒様を疑うなどあってはならぬ!!」
アリアの叫びにエルフ達がショックを受けたようだ。
さっきまでの殺気が嘘のように収まって、今度は憧れのような感情を感じる。
うわぁ、手のひら返しじゃん。
冷めた目つきでエルフ達を見ているとアリアがブツブツと何かを言っているのが見えた。
何を呟いているのかな?
よーく目を凝らして口元を見ると‥
に が さ ぬ
と言っているようだ。
あっ、コイツ俺が助けに来たわけじゃない事を知ってるのに、勝手に救世主に仕立てやがった。
それも俺を逃さぬ為だ。
俺は目の前のアリアに対して警戒心を強めるのであった。