急行
バスのモニターには周辺の地図と目的の馬車がデフォルメ化されて表示されている。
馬車の周りには青い点が存在している。
さらに青い点を囲むように赤い点が多数表示されている。また数は少ないが灰色の点も表示されている。
「葵さん、青い点が味方で赤い点が敵で灰色が怪我人ってこと?」
「灰色は死人、もとい死体です。」
なぜ言い直した??
「斗真さん、急いで下さい!ハイ、飛ばして!!」
葵さんが急かせるが、常日頃安全運転を心がけてきた俺にはスピードを出すのに抵抗がある。
「法定速度を守らないと。」
「ここは野原なんですから無制限ですよ。仮に跳ねても魔物とかだから問題ないですから!!」
葵さんに急かされながら現場に向かう。
「葵さん!良く考えたら俺、戦う力ないですよ!!駆け付けても何も出来なくないです?」
思わず叫んでしまう。
「大丈夫です。相手は盗賊ですよ‥。思いっきりひき殺して下さい。遠慮はいらないです。ちなみにこのバスはどんな攻撃でも傷をつける事は出来ません。安心ですね。」
最後だけ可愛く言っているが、前半は盗賊を殺せとか物騒な事を言っている。
俺は覚悟を決めてアクセルを踏み込む。