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バスは進む
「次の目的地はエタナです。御用のある方は降車ボタンを押して下さい。」
ソフィアしか乗っていないが、斗馬は癖でアナウンスするのであった。
「ピンポン!」
心地よい音が車内に響く。
押す必要はなかったがノリでソフィアがボタンを押してくれる。
何故か斗馬とソフィアがイチャイチャ始めて葵は混乱していた。
斗馬は機嫌良くアクセルを踏むとバスを走らせる。
数分後、目の前に川が見えてくる。
橋か迂回路を探すが目視できる範囲にはなかった。
「葵さん、ナビの調子が悪いみたい。」
斗馬が葵に話しかける。
「え、何かありましたか?」
葵さんが慌ててるようだ。
「ナビではこの川を突っ切るみたいなんですよ。橋もないのに‥。」
斗馬の目の前のディスプレイには川を横断するルートが映し出されていた。
「あっ、それは正常ですよ。」
葵さんが即答する。
「え?まさかこのバス、水陸両用ですか?それとも水の上をはしれるとか?」
方法は分からないが渡れると言われて少し興奮する斗馬であった。