そしてあのイベント
斗馬は早く運転したいので、慌てて運転席に座る。バスの計器は基本的には普段運転していたバスと同じであった。一つのモニターに表示されているのは、バスの四方向の映像である。もう一つのモニターには周囲の地図が表示されていた。
とりあえず街を目指そうと思うので、地図を広域に切り替えて街を探す。
現在地から少し離れたところに道らしきものがあった。そこを辿っていくとカタカナ表記で『ホセ』という名前の街を見つけたので目的地設定にする。
「葵さん、表記はカタカナになってるけど、街の人と会話出来るの?」
「そのあたりは大丈夫ですよ。脳内で日本語に変換するように頭をいじってますので。」
葵さんがトンデモ発言をしている。
脳をいじってるの!?
コワ!
「言葉が通じないと不便ですからね…。」
方法は別にしても言葉が通じる事は助かる。身振り手振りでは厳しいし、異世界なので言葉が通じない事で殺される恐れもあるからね。
誰のおかげかは分からないがとりあえず女神様に感謝をしながら、アクセルを踏み出すのであった。
「あっ、ちょっと待って下さい!1キロぐらい離れた場所で馬車が盗賊に襲われています!襲われている方が劣勢なようです!」
ようです!っで報告終わったよ‥。
これって助けに行かないと不味いよ。
「斗馬さん、助けに行きますか?行きませんか?」
葵さんの言葉に圧を感じる‥。
「ちなみに助けに行くと、バスのことが公になって色々な事件に巻き込まれますよ!たぶん。」
多分って言ったよ!!
「あと、助けないと乗っている高貴な方は散々な目に遭います。それはもう生きているのが辛いぐらいな目には‥。いっそ殺してくれって思うぐらいに‥。」
「どうしますか?」
「イヤ、助けるよ!そんな目に遭うのは可哀想だよ!」
「そうですよね、さすが斗馬さん!!ではすぐに向かいましょう!行き先は変更してますのでナビに従って下さいね。」
俺は助けに向かうのであった。