改札鋏
カチカチ
カチカチ
ヴァンパイアと色々あった翌日。バスの運転席の横で改札鋏を鳴らすヴァンパイアがそこにいた。
カチカチ
カチカチ
ヴァンパイアは朝早くから、もぎりの仕事をしたくて張り切って改札鋏を鳴らしている。
「お兄様、耳障りです。」
妹の楓が耳元で呟く。
「まぁ、楽しみ何だろうけど。それより、楓は何でそこにいるの?」
「何でって、お兄様酷いです!
私は常にお兄様の横にいるものなのです。何処にでもお供します!!それが例えトイレであっても‥」
「いや、トイレは本当に勘弁して。
ごめん、言い方が悪かったね。
楓は何で運転席にいるの?
昨日までは一人しか座れるスペースなかったのに。何で一晩で座席が拡張されているのかな?」
楓に問いただす。
「拡張なんて想像すれば‥‥
鍛治神がやってくれました。
器用なんで。」
「一晩で?
座席の拡張って鍛治ではないよね?」
「器用だから何でも出来るんじゃないんですか、知らないけど。
もう、鍛治神とかどうでもいいじゃないですか。こうやって可愛い妹と一緒に座れるんですから。楽しみましょう!」
楓が抱きついつくる。
いろいろ釈然としないが追求するのをあきらめる。それよりも問題なのは‥。
カチカチ
カチカチ
早く切符を切りたくて、改札鋏を鳴らすヴァンパイアであった。




