仕事
何か不器用なヴァンパイアにさせられるような仕事はないのか。
現代の日本での事を頭に思い浮かべる。
接客業はそもそも店舗がないし‥。
パソコンを使った‥‥無理。
‥‥‥ない、全然考えつかない。
何かあるはずだ。
考えろ、俺!
『ね?
何も考えつかないでしょ。
消しましょう。』
ね?じゃないよ。
ってか、勝手に人の頭の中に入ってこないでくれるかな妹よ。
何かあるはずなんだけど。
ここは初心に戻って‥
俺の職業は何だ?
バスの運転手‥‥は俺だから無理だし。
他には‥‥
本部の通信の人‥‥は必要ないし。
あっ、今ピンときた!
確か、大昔のバスの映像に映っていた気がする。
いや、これならヴァンパイアにもできそうだが‥。そもそもデジタル化しているこのご時世に紙って言われても。
まぁ、そもそもこの世界に交通系ICカードは存在しないから。
だったら紙の乗車券でも問題ない。
よし、この職業にしよう。
「おっ、その顔は何か思いついたのか?」
「うん、貴女にも出来る仕事があったよ。
その仕事はお客さんの乗車券を確認し、印をつけるんだ。」
「まぁ、よくわからんが出来そうな気がしてきたかも。」
ヴァンパイアが目を輝かせる。
「お兄様!?
コイツにもぎりをさせるつもりですか??
いや、さすがにこの時代にもぎりって‥」
楓が目を丸くして、驚く。
さらに言葉を続けようとする楓の肩に手を置き告げる。
「まぁ、成るように成るよ。」
俺は出来事があったと喜ぶヴァンパイアを優しく見守るのであった。