めんどくさい人
楓の殺す発言にヴァンパイアの女性が暴れだす。
「おい、放せ!
放せ、化け物!!」
ギリッ
ギリッ
楓は無表情でヴァンパイアを掴む手に力を入れる。
「痛い!痛い!痛い!
ごめんなさい。
許してください。」
ヴァンパイアが泣きそうな声で懇願してくる。
このままでは本当に殺す雰囲気なので楓を止めることにする。
「楓
そろそろ許してやって。」
‥‥‥‥
楓に反応はない。
「おーい、楓さん。」
やはり、反応はない。
うーん、何か正解なのか‥
「楓、大好き。」
「お兄様、私も大好きです。」
楓はヴァンパイアを放り投げると俺に抱きついてくるので、俺は無言で楓の頭を撫でることにする。
「はい。
そろそろバスに乗り込みましょう。」
楓は満足したのか、笑顔でバスに乗り込もうとする。
「ちょっと待ってください。」
先ほどとは違い、少し弱々しい声でヴァンパイアが声を掛けてくる。
あっ、やばい。
完全に忘れてた‥。
「お兄様。
やはりころ‥」
物騒な事を口にしそうになる妹を抱きしめて、黙らせる。
「それで、何のご用ですか?」
とりあえず話を聞くことにする。
「あ、ありがとうございます!
えっと‥
その‥」
ヴァンパイアは何か言いにくそうな感じにモゾモゾしている。
そして、覚悟が決まったのか大声で叫ぶ。
「私を貴方の奴隷にさせて下さい。」
ヴァンパイアは目の前で土下座する。
ガシッ
「無理。」
土下座したヴァンパイアの頭を楓が踏みつけるのであった。