出国
「‥私に力を貸して下さい!!」
パトラ女王が力強く宣言すると、民衆から割れんばかりの拍手が起こる。
その様子を遠くから見守っていたが、思わず目頭が熱くなる。それもその筈、出会った頃のパトラ女王の事を考えるとその成長には驚かされていた。
「お兄様。」
楓がハンカチを取り出す。
それを受け取ろうとするが、楓は俺の手を避けると涙をハンカチで拭いてくれる。
うーん、アリア達もいるし恥ずかしいんだけどなぁ。俺は照れ隠しで笑うしか出来なかった。
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その後、女王誕生のお祝いで国中がお祭り騒ぎになっていた。
「よし、出発しよう。」
お祭りムードの中、俺たちは出国する事にする。これについては昨晩、皆んなで話し合って決めていた。
ちなみに出国に反対する者は誰もいなかった。
俺たちは引き留めようとする者達から、逃げるように旅立つ。
「あっ
お兄様、こっちです!」
楓の案内は完璧で、誰にも妨害される事なく無事に出国するのであった。
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「嘘、逃げられたの!?
あり得ないでしょ!
門は全て閉じてたのよ!
ちょっと、何やってるのよ!!!」
就任早々、パトラ女王から怒られる部下達であった。