宣言
ゴクッ
眼下に広がる光景に思わず唾をのみこむ。
私が女王に即位した事を宣言するのに、国中の人が集まっていた。
流石に多過ぎじゃない‥
最初に見た時の私の感想だ。
それにしても人々が綺麗に整列している。
イヤ、綺麗すぎる。
近衛騎士よりも綺麗に整列するなど、あり得ない事だ。
う〜ん
コレもに大きな力が影響しているのだろうか‥。物言わず整列する人々に若干引いてしまう。
「女王様。
お時間です。」
元老院の長に促される。
ヨシッ
私は心の中で気合いを入れ、テラスの柵に歩み寄る。
シーーーーン
私が立ち止まっても人々からは反応がない。
静か過ぎるのも寂しいような。
そんな事を考えると、急に人々が拍手を始める。
絶対、私の心をよんだのだろう‥。
まぁ、無音よりはマシかな。
拍手が鳴り止まないので、私は右手を挙げる。
ピタッ
私の合図に人々は拍手を止める。
だから統制が取れ過ぎてて気持ち悪いって。
ふぅ〜
私は深呼吸を一度し、人々に話し始める。
「皆さん。
今日はお集まりいただき、ありがとうございます。
まず、今回の件で皆さんを不安にさせた事を謝りたいと思います。
申し訳ございません。」
私は深々と頭を下げる。
「女王!
頭をお上げ下さい!!」
元老院の者たちが大慌てだが、私はそれを無視する。
「国王を失い‥
その死に関係していた兄を失い‥
危うく国自体を失うところでした。
王家は何をやっているのだとお怒りでしょう。
正直、私も怒っています。
父も兄も驕っていたのだと‥。」
私は元老院が用意した内容とは違う、正直な気持ちを人々に伝える。
「この国は変わらなければいけません。
王家だけで国をつくるのではなく、皆さんの力が必要です。
皆さんの願いを私に聞かせてください。
私は皆さんの願いを叶えるよう、最大限努力します。
だから‥
私に力を貸して下さい!!」
最後は叫んでしまう。
私の言葉に人々が拍手や声を掛けてくれる。中には涙を流す者をいた。
バラバラの反応を見て、例の力ではない事を確信する。
「頑張って!」
子供の声が耳に入る。
う゛ぅ゛
最後まで泣かないと決めていたのにその声を聞いた途端、涙が溢れてくる。
ギリッ
私は歯を食いしばって、笑顔を見せる。
せめて笑顔だけは維持しないと‥。
私は顔を上げると手を振って人々の声援に応えるのであった。