誤算
『記憶を残したままにするから‥』
「断る。」
言葉の途中でアリアに断られてしまう。
『クッ
まさか全員に断られるとは‥
絶対に魅力的な話なのに‥
面白くない!』
楓は目の前のアリアを睨みつけるが、アリアは怖がる様子を見せない。
『さ、参考までに聞かせて欲しいのだけど‥
何で、皆んな断るの?
斗馬‥‥お兄ちゃんを独り占めに出来るんだよ!
断る意味がわからない。
理解出来ない。
何で?
何でなの?』
楓自身は気がついていなかったが、その言葉には焦りを感じさせる。
そんな楓を見てアリアはゆっくりを近づくと、優しく抱きしめる。
『!!!!!!!』
まったく予想していなかったアリアの行動に楓は本気で驚いた。
「独り占めするのは魅力的だけど、斗馬の手に私だけをおさめるのはもったいない。
最初は増え続ける嫁にイライラしたが、そんな誰にでも優しいトウマを好きになったのだと思う。
それに‥
仮にやり直しても、嫁はまた増える。
だから、やり直す必要はない。」
アリアは楓の頭を撫でながら、優しい口調で語りかけてくる。
楓はそれを心地よく思うのであった。
「こ、これは面白くなってきた。」
地上の様子を見ていたサブ最高神はまさかの展開にニヤニヤが止まらなかった。