表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/625

えっ、そっちのバス


 名前が決まったので話を進める事にする。


「葵さん、僕のスキルとかはどうなりましたか?さすがにこんな場所で何のスキルも装備を持たないのはシンドイですよね?」


「斗馬さん、申し訳ないのですが何のスキルもありませんし、魔力も無いので魔法も使えません。」


詰んだ。

スキルも魔法もなくて、この世界で生きていけるわけがない。異世界に来た当日に死ぬ運命だったんだ…。


「そんな顔しないで下さい。たしかにスキルも魔法も使えませんが、斗馬さんにはバスがあります。」


「バス?何処にそんなのあります?」


「今から呼び出しますから、そこを動かないで下さいね。」


葵さんがそう言うと、少し離れた地面に魔法陣が浮かびあがり発光を始める。すると想像より大きなバスが出現する。


全長:15m

全高:5m

全幅:3m


「な、なんじゃこりゃ!!」

斗馬が絶叫する。


「俺が乗ってた相棒じゃない!しかも二階建てバスじゃん!!」


「このバスは斗馬さんが、地球で乗ってたバスをベースに作られていますよ。」


「ベースって、見る影も無いじゃん…。」


「もう、男がそんな細かい事を気にしない!それよりこのバスは凄いんですから!!とりあえず説明していいですか?」


ここは大人しく従う事にする。

「宜しくお願いします。」


「では、説明します。このバスはマナを燃料にしていますので、マナが満ち溢れたこの世界では永久に動くことが出来ます。しかもマナを使っているので排気ガスは0です。このご時世、かなりエコなバスです。凄いでしょ?」


「燃料を気にしなくいいのは助かりますね。しかもエコってのがいいです。」


「次にボディですが、どんな攻撃を受けても傷一つ付くことはないです。どっかの女神様が腕によりをかけて強化してます。」


「さすがにそれはやり過ぎでは?」


「斗馬さんはほぼノンガードですから、これぐらいしないとすぐに死にますよ。」


「たしかにそうですね。大変ありがたいです。」


「次にセキュリティ面ですが、バスには強力な結界が張ってありますので斗馬さんが許可した人しか中に入れませんし、運転は斗馬さんしか出来ません。なので盗まれる心配もいりません。」


「さすが異世界、許可した人しか入れないのは助かります!」


「次に機能面ですが、一階は運転席、座席が10あります。観光バスなのでテレビ、カラオケ、トイレを完備しています。」


「テレビって異世界で映るんですか?」


「もちろんテレビは映りませんがBlu-rayやDVDが沢山ありますから映画とかは見れます。カラオケは最新のデータが常に更新されますので、流行に乗り遅れることはないですよ。」


異世界に来てるのに最新のヒット曲を歌えてもあまり意味ないと思うけど…。

いまいち釈然としない斗馬であった。


「他にも椅子にはマッサージ機能にUSBのコネクターもあります。ちなみにトイレはウォシュレット付きですよ。」


だから異世界に来てるのにUSBと言われても…。


「そういえば二階はどうなってますか?」


「二階は斗馬さんのプライベート空間になります。まぁ、百聞は一見に如かずと言いますし、ご自分の目で確かめて下さい。」


葵さんに言われて二階に上がってみる。階段は中央付近にあって、扉がついている。

とりあえず扉を開けて階段を登って二階に上がってみる。するとそこにはバスの二階とは思えない光景が広がっていた。


「葵さん、ここ変です。」


「何がですか?」


「天井が2m以上あって、玄関、巨大なリビング、巨大なキッチン、トイレが二つ、大きなお風呂、部屋が七つあります。斗馬と書かれた部屋は超特大のベッドが置いてあって、しかも各部屋にエアコン完備ですよ。もう物理の法則を無視してますよね?」


「驚くのは仕方がありませんが、異世界なので慣れていただくしかありません。しかも斗馬さんはとても弱いのであまり外出しなくても良いようにしてあります。まぁ、私もやり過ぎだと思いますが女神様がやったことなので文句は言えません。」


「たしかにこれだけの装備があれば外に出る必要ないですね。でもそれだと異世界にきた意味ないですよね?」


「斗馬さんは勇者ではありませんので、生き残る事だけ考えていれば良いと思います。基本的にはバスの中に引きこもって、異世界を旅すればいいじゃないですか?」


「たしかにその方がリスクは無さそうですね。わかりました、現実を受け入れて前に進みたいと思います。」


とにかく早く異世界を満喫したいので、無理やりに納得して、運転席に向かうのであった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ