後継者問題
最高神にとって長年悩まされているのが、後継者問題であった。
上位神から選ばれた者が最高神になるのだが、今の最高神に代わってからはパッとしない者ばかりだ。
『だからアレほど後継者の育成に力を入れろと5万年前から言っていたではないか!』
最高神の中にある複数の性格が争いを始める。
『育てていました!
ただ結果が出ないだけです!』
『何故結果が出ない!
厳しく育てたのか?』
『はぁ?
厳しくしても最近の上位神はついてこないからって甘めにしたではないか。』
『おいおい、責任逃れか?
私は時には厳しくと言っておったぞ!』
『何だよ時にはって?
都合の良い言葉だよな?』
『そろそろ争いはやめないか?
我々が争っても意味がない。
ここは冷静になろう。』
『『『『『『賛成!』』』』』』
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最高神の中で方針が決まったので話を進める事になった。
『お前達には、呆れてしまった‥。
そのうち成長するかもと見守ってきたが、もう我慢の限界だ。
上位神全員、下位に落ちてもらう。
ただの神からやり直せ!
本来なら神の資格も剥奪してやりたいが、今回までは許す事にする。
だが、次はないからな!』
最高神は上位神達の返事も待たずに、所定の部署に転移させてしまう。
『はぁ〜本当に困ったものだ‥』
最高神が愚痴りながらも次の仕事に取り掛かっていた。
いまだ意識を戻さない斗馬を目の前に転移させてくる。
『なるほど‥
この人間が女神の伴侶か‥』
最高神が斗馬を注意深く観察する。
『肉体はもう死んでおる。
精神は眠ったままか‥
上位神の不始末は私の責任でもあるか‥』
『ちょっと、どうするつもりだ?』
『いや、それはまずいだろ?』
『本気か?』
『本人の同意はどうする?』
『このまま死ぬよりはマシだと思うが‥』
『『『『『『やむなし!』』』』』』
最高神の中で結論が出たようだ。
今の形態は光の粒子である最高神。
その光の粒子の一部が斗馬の身体に流れ込む。
『特例であるが、其方を最高神直属の眷属とする。
少し人間離れする事になるが、我慢してくれ。本来であれば何も修行をしてない者を眷属にはしないのだが‥。』
斗馬を救う為、最高神は眷属にしてしまう。
ちなみに斗馬の性格を理解している最高神はその事を秘密にしたのであった。




