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挨拶

「鍛治神様。

 大変申し上げ難い事なのですが、このバスは誰も改造しておりません。

 そもそも女神様から頂いたバスを我々のような素人が手を加えるなど不可能ですよ。」


 興奮する鍛治神様に葵さんが丁寧に説明する。


 鍛治神様の動きが止まる。


「‥‥‥確かに人間や天使に職人神が造った神器に手を加えるのは無理だな。

 だったら何で俺の剣を折ったのだ。

 神器を破壊するなど、本来あり得ない。」


 葵さんの言葉に少し冷静になった鍛治神様が考え込む。


 目の前で悩みだす鍛治神様に葵さんは困惑していた。斗馬の事が気になるので早めに帰ってもらいたかったからだ。


 お願い、早く神界にお帰りください!


 葵さんは神に祈った。


「まぁ、時間は無限にあるからボチボチ調べるか‥」


 !!!!

 今、不穏な事を耳にしてしまった。

 嫌な予感しかしない。


「おっ

 悪い悪い、大事な事を忘れてた。

 このバスの主に会わせてくれ。

 挨拶がしたい。」


 クッ

 最悪だ。


 斗馬さんはまだ医療用カプセルの中なのだ。私の勘が鍛治神様を斗馬に会わせては駄目だと告げている。


「このバスの主人は今治療中でして‥

 お待ちの間、お食事でもどうでしょうか?」


 お願い、この話にのって!


「飯だ?

 いらんいらん。

 飯なんかより、主人に会わせてくれ。

 俺は治療中でも気にしないぞ。」


 鍛治神様が笑いだす。


 いやいやいや、気にして下さい!


 少しは気をつかえ!!


 心の中で毒づく葵さんであった。

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