吸収
肉塊の触手が次々にロドス騎士団を襲っていた。それはもう地獄絵図である。
触手に捕まれた者は肉塊に吸収されていく。
殆どの騎士が吸収された時にそれは起きた。
「助けてくれ!」
パトラの父親である帝国の王が触手に捕まれたのだ。
え?
触手はロドス騎士団しか狙わないと思い込んでいたからだ。
「助けないと‥」
立ち上がろうとするが身体に力がはいらない。
クソッ、俺では王を助ける事が出来ない。
だったらアリア達に頼もうとするが、アリア達は目をあからさまに逸らしてしまう。
「どうして‥」
アリア達が目を逸らす理由がわからない。
混乱する俺にパトラが説明してくれる。
「トウマ様、もうよいのです‥。」
無理やり動こうとする俺をパトラが押さえ込む。
「でも‥」
吸収されていく王を見て、もう助けられない事を悟る。
「父の手も血で汚れています。
それはもう大勢の人間の血で‥。
いえ、人間だけではありません。
エルフや獣人も沢山殺されています。
そちらのエルフの方もそれがわかっているので動かなかったと思います。」
パトラは父親が肉塊に吸収されていくのを寂しそうに見つめていた。