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救出

「まずはその右手だ。

 さぁ、大声で囀ってくれ!」


 パトラの兄が斧で右手を切り落とそうと振り上げた瞬間、それは飛び込んでくる。見たこともない白い鎧を纏った騎士が。


 パトラの兄の斧を盾で受け止める。


 金属が擦れ合う音がその場に響き渡る。


 パトラは顔をあげて、自分を助けてくれた白い騎士を見る。


「怪我はない?

 もう大丈夫だから。」


 兜のせいで顔は見えないが、勇敢な騎士にしては少し頼りなさそうな声が聞こえてくる。もちろん、パトラにはその声に聞き覚えがあった。


「トウマ様!」


 パトラはトウマの名前を叫ぶと泣き出してしまう。


「邪魔をするな!!」


 パトラの兄が斧で襲いかかってくる。


 斗馬は必死に盾で防ぐが、防戦一方にはっていた。


『こいつ、強い!』


 リモート操作していた女神もパトラの兄の強さに驚いている。


 パトラの兄は腐っても帝国の第一王子。

 幼少より剣術を鍛えられていたので、並の技術ではない。

 しかもここ最近は怪しげな薬を使って、さらに強さを増している。


「素人のくせに、邪魔をするな!」


 パトラの兄が猛攻を仕掛けてくるのであった。

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